マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

紅葉狩り顛末記・・・渋峠は冬だった・・・

▶この時期が来ると妙に落ち着かなくのは、紅葉狩りの季節だからだ。春の花見と秋の紅葉狩りは、現役で仕事をしている時からここ十数年来ほとんど欠かしたことがなく、毎年時期が来ると、さて今年はどこに出かけようかと考えるのが楽しみでもある。春の花見もいいが、やはり好きなのは秋の紅葉だ。陽射しに映える紅葉を愛でる気持ちは、そこに自らの人生の秋を重ね合わせることで、一層味わい深いものとなる。だから紅葉狩りは大人の贅沢だ。写真は昨年の奈良公園
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▶日本では「もみじ」は「紅葉」と書くのが一般的だ。従ってどうしてもカエデやナナカマドの赤色を思い浮かべてしまうのだが、万葉の時代は、「もみじ」は「黄葉」と書かれていた。確かに、奈良などの山の秋の景色は、どちらかと言えば黄色が主体だろう。さて、百人一首にある「小倉山峰のもみぢ葉こころあらば今ひとたびのみゆき待たなむ」という歌のもみぢは、「紅葉」なのか「黄葉」なのか。どちらでもいいような気もするが、少なくとも現代の京都で目立つのは、「紅葉」ばかりである。殆どの寺院が、好んで植栽しているのはカエデだからだ。京都の紅葉は作られた紅葉である。

▶それでも、記憶に深く刻まれているのは、十年以上前に妻と二人で見た京都の紅葉である。この時は、大阪市内に宿をとって、朝早く宿を出て終日京都市内の寺院を観光した。11月末の連休の時の京都の紅葉は、確かに素晴らしかった。その時撮った写真のうち、嵯峨の二尊院の参道の紅葉の樹の下で撮った一枚を、現在テレビの横に飾ってある。

▶私が人生で見た最高の紅葉の景色は、昨年10月末にバイクで行った福島・檜枝岐から新潟・奥只見を走る国道352号線沿いの紅葉である。この時は、福島の湯之上温泉に前夜泊して、そこから奥只見に向かったのだが、檜枝岐を過ぎてからは車ですれ違うのも困難になるほどに道も狭まり、そこを慎重にバイクで走って行くのだが、とにかく言葉にはできないほどの紅葉・黄葉の連続で、その晩泊った宿では夢にまで出てくるほどだった。写真を掲載しておくので見て欲しい。
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▶さて今年は色々考えた末、草津温泉から渋峠を越えて志賀高原に抜けるルートをバイクで走り、紅葉を見物することに決めた。この道は国道292号線で、草津白根山を右側に見ながら越えると日本国道最高地点に到達する見晴らしのよい道で、かつて春や秋に走ったことがあり、すぐ先にある渋峠を更に下ったところの志賀高原の紅葉もなかなか良かった記憶がある。今年行ったのは28日のことで、夜は渋温泉に泊まった。渋温泉は期待通りだったが、しかし、今年は期待されたような紅葉は殆ど見ることができず、また実際のところ見るような余裕もなかった。なぜなら久しぶりに行った渋峠は既に冬だったからだ。

草津の手前にある八ッ場ダムの湖畔の道の駅で休憩したときは、湖畔の風景を楽しむ観光客も大勢いた。ところが草津に近づくにつれて、「草津志賀高原ルートは凍結のおそれ」の電光掲示板が目につきだした。その時は気温はまだ10度台半ばで余裕があり、掲示は念の為の注意喚起か、もしくは何かの間違いではないかと思っていた。

草津温泉の湯畑に立ち寄った時も、まだ比較的暖かかったが、天狗山スキー場を過ぎて白根山方面に上りだしてから、急激に気温が下がってきた。風が身を切るように冷たく、頂上付近に至っては雲が覆っていて、手袋をはめた指先が痛くなってくるのが分かる。草津白根山のお釜周辺は、火山噴火警戒レベルの影響か立ち入り禁止で、人っ子一人いない。だいたいこの辺りの標高は既に森林限界を超えているので、そもそも紅葉などが見られるはずがないのだ。道路脇には、少し前に振ったと思われる雪が残っている始末だ。

▶この寒さでは、さすがに志賀高原まで抜けられるかどうか不安となった。午後2時15分に渋峠に到着。そのまま走り過ぎようと思ったが、標識があったのでバイクを止めて写真を撮った。標高2152メートルの渋峠は冬だった。近くにあった電光掲示板の温度表示は1℃とあったが、こんな場所まで紅葉狩りに来るバカはいない。バイクはおろか車もほとんど走っていない世界だ。
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▶とにかく、路面の凍結が心配なので、志賀高原へ向かって降りて行く道には相当気をつかった。途中、3~4ヶ所雪よけのシェルターをくぐるのだが、この中が一番危ないということで、徐行して通った。風が強いので、体感的には氷点下という感じで、秋のツーリングの支度をしていった身には、寒さがこたえた。それでも、あとは下るだけなので、注意しながら下っていくと、今度はだんだん気温が上がってきた。志賀高原まで降りてきたときは、標高は1400メートルくらいだったが、それでも渋峠からみればかなり下界に下りてきたことになる。志賀高原の紅葉も既に終わっていた。

渋温泉に着いたのが午後3時だったから、渋峠から45分かかって降りてきたことになる。宿に着いてバイクを降りて、トランクを開けようとしてキーを差し込んで回そうとしたが、指がかじかんでキーが回らないので困った。それにしても、紅葉見物をするつもり越えた渋峠が冬だったとは・・・まだ10月中だというのに・・・。急いで飛び込んだ渋温泉の温かかったこと。

▶翌日(つまり昨日)、午前8時半に渋温泉を出発して、国道18号をタラタラ走って昼ころにやっと軽井沢まで戻ってきた。途中、小諸を過ぎて御代田というところを過ぎるところで、道の左側に雄大浅間山が見えた。昨日の渋峠越えがまるで嘘のように、天気は絶好だった。
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▶午後5時半、千葉の家まで戻った。今年は納得のいくような紅葉は見られなかったが、事故もなく、無事に戻ってこられたので、まずは良かったということだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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