マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

目黒川の花見


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▶29日は、いつもの学生時代の友人達と4人で、目黒川沿いで花見を楽しんだ。当初はもう少し多い人数で企画されたのだが、残念ながら予定が合わなかったり、健康上の問題もあったりして、結局はその人数になった。正午にJR大崎駅の南口に集合し、歩行者用のデッキを降りると、すぐに目黒川にぶつかった。

▶目黒川は、世田谷区・目黒区・品川区を北西方向から南東に向かって流れる河川で、五反田の南で山手線の内側に切れ込んでくる。海に流れ込む辺りは、昔は品川という名前だったそうで、それが現在の品川の地名になっているというトリビアは面白い。川沿いには800本の桜並木が続いているが、花見スポットとしては人気度が全国一位とのことだ。ただ、本当かどうかは知らない。

▶目黒川の桜見物で混むのは、中目黒駅付近や大橋付近で、大崎近辺は再開発にともなって植えられた比較的若木の桜が多いので、見物人はそれほど多くない。この場所は、幹事役のS君が見つけてくれたのだが、川沿いの桜が見える大崎キッチンというビア・レストランのテラス席を彼が確保しておいてくれた。

▶この日は曇り空だったが、花冷えという言葉がピッタリの陽気で、レストランのテラス席に座ると同時にブランケットが配られた。店のスタッフが、屋外ヒーターをつけてくれる。飲み会の開始にあたっては、S君が全員分のコロナ抗原検査キットを持ち込んで、彼の指示で検査をした結果、全員が陰性だったので、心置きなく花見を楽しむことにした。ちなみに、検査時間は僅か数分で、キットの調達価格は800円程度というから、随分と便利になったものである。通りがかりの人が、私達が検査している姿を物珍しそうに眺めていた。

▶最初は各自が選んだビールで乾杯。ここは世界各地のビールが飲めるので、ビール好きにはお勧めかも知れない。たちまちグラスが空いて次のビールを注文する。料理も配膳されてきて、ピッチも上がる。話題はもっぱらウクライナ情勢だ。飲んでいるうちに、風が少し強くなってきて、本格的に冷え込んできた。メンバーの一人は持参のマフラーを首に巻いたが、私は配られたブランケットを首に巻く。格好を気にする余裕はない。

▶寒いので、メンバーの一人が、ワインをレンジで温めてくれと無理な注文をするも、店側が受け付けてくれない。仕方ないので、彼はウィスキーのお湯割りを注文。私はビール党なので、寒空の下で満開の桜を眺めながらビールを飲んだ。江戸時代から、花見の時は寒いのが定番だと、誰かが言う。2時間近くたって料理の方も大方出尽くしたので、会計を済ませることにした。

▶幹事のS君が、会計を済ませると、飲み放題の時間がまだ40分残っていますよとスタッフから言われたとのこと。この段階で、一人が自宅に戻ることになり、残った3人はテラス席から店の中に入ったが、こちらは天国のような温かさで、一同元気を取り戻し、俄然ビールを注文したのだから、いい気なものだ。ここで更に40分飲んで、もう一人が犬の散歩に出かけないといけないとかで、家に戻って行った。

▶残ったのが、S君と私で、時刻は午後3時。カラオケでも行くかという話がまとまって、五反田駅まで歩き、駅前のカラオケ店に入った。S君とは学生時代から同じような付き合いを続けており、気分は昔と全く変わらない。彼の指示で、カラオケ店のドアノブは触らない、マイクやリモコンは用意したアルコールで全面消毒と、徹底した管理を施して、二人でカラオケを20曲ばかり歌った。S君は、妙なところが徹底している。

▶全部終わったのが午後5時頃だった。S君に礼を言って、五反田からJRに乗って帰った。千葉の家に着いたのは午後6時半頃だった。寒かったが、記憶に残る花見だった。

▶余談だが、ソメイヨシノの寿命は60~70年と言われている。一般の樹木の寿命は、これと比べるとはるかに長いが、ソメイヨシノの寿命が極端に短いのは、人工的に交配されて作り出された品種で、接ぎ木でしか増やせないという宿命を背負っていることと関係があるのだろう。年をとったソメイヨシノの木肌は次第に黒く変色してゆき、いかにも老人を想像させるが、その老木にもあでやかな花が咲く。人間は、自らの人生の遍歴を、ソメイヨシノに重ね合わせるから、これほど桜を愛でるのではないか。歌人西行は、満開の桜の時に死にたいものだと言って、実際にその通りに死んだ。西行も本当に桜が好きだったのだろう。