マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

四国遍路日記(4ー2)

▶四国遍路の中で、室戸岬の24番最御崎寺足摺岬の38番金剛福寺を目指す行程は、ある意味難所と言える。道は平坦だが、途中の寺のない長い海沿いの道を、延々と歩く必要があるからだ。昨日と今日の行程がまさにそれで、37番岩本寺から足摺岬までは80㎞もある。

▶昨年11月に室戸岬を目指した時は、天気は良かったが、日陰の全く無い国道55号線を太陽に照りつけられながら歩くので、思った以上に体力を消耗した。今回足摺岬を目指す行程は、雨が降りしきる国道56号線四万十市からの321号線を、南西方向にひたすら歩く旅で、晴れていれば足摺岬が前方に見えるはずだが、雨のために視界は極めて悪かった。

▶前置きが長くなったが、今日は黒潮町から四万十市内を越えて土佐清水市久百々という集落まで歩く。想定される距離は31㎞だ。午前5時前に起きて、足のテーピングや雨仕舞いの準備を行う。雨なので、リュックを簡単に開けることができない為、必要な小物をレインウェアのポケットに入れる。しかし本格的な雨に対応できるだろうかと不安が募る。

▶宿を出たのは6時40分と早かった。雨はそれ程でもない。1時間歩いて「道の駅ビオスおおがた」の手前を左に折れて入野松原に入った。ここは大規模な海浜公園になっていて、海沿いに連なる松林を左に見ながら、広々とした野原の中を幅が12mくらいある車線規制のない舗装道路がくねっている。どこか異国情緒を感じさせる景色だ。クルマはたまにしか通らず、遍路歩きには快適だ。時刻は9時くらいだから余裕がある。

▶そこからしばらくして四万十市に入ったが、市街地はかなり北なので、目に入るのは田園風景ばかり。朝から小雨が降り続いており、道路の僅かな窪みにも水がたまっていて、すれ違うトラックが水を跳ねるのには閉口する。

▶中間目標としていた四万十大橋のたもとにある休憩所には午前11時に到着した。目の前に四万十川がとうとうと流れているが、四国の川は、吉野川仁淀川に続いて3本目だ。しかし、四国の川は、どこも同じように風情がありますね。


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▶その休憩所で休んでいると、一人の遍路さんがやってきた。挨拶をすると、昨晩同じ宿に泊まった人であることが判明。話をしているうちにこの人の出発時刻を聞いて驚いた。午前9時前まで宿にいたというから、私との違いに思わず「ウソでしょ」と言ってしまった。驚くなかれ、この人は歩いているのではなく走っており、2時間でここまで来てしまった計算だ。昨日は50㎞走ったというから、私には想像だにできない。

▶休憩所の出発は私の方が早かったが、四万十大橋を渡っている途中で、その人に追い抜かれ、彼はみるみるうちに雨の中に消えていった。橋を渡って左折すると、後は321号線を足摺岬方面へひたすら歩くことになる。まだ今日の宿までは16㎞も残っている。

▶時刻は正午を過ぎたが、この頃から雨脚が強くなった。道は次第に山道にさしかかり、通り過ぎるクルマは水しぶきを上げるようになった。いつものことだが、昼過ぎになると疲れが表面化してくる。道は峠越えの遍路道とクルマが通る1.6㎞もあるトンネルに分かれるが、迷うことなくトンネルを選択。

▶トンネルを出ると、突然左のシューズに水が入り出した。完全防水のつもりが一体どうしたことだろう。右は大丈夫なのも不可解だ。雨は相変わらず降り続いていて、休む場所が見つからないので、手当てのしようもなくそのまま歩き続ける。午後2時過ぎにやっとこさで一つ前の集落にたどり着いたが、残るは2~3㎞。そこから宿を探しながら降りしきる雨の中を海沿いの321号線を歩くのはさすがに身体にこたえましたね。それでも午後3時半、やっと宿に到着しました。やれやれ。