マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

四国遍路日記(4ー10)

▶先週の火曜日に高知入りし、翌日から再開した遍路旅も今日で丸10日となった。前半は雨に祟られながらも、これまで既に250㎞以上は歩いた計算だが、打った(遍路ではこう言います)寺は僅か3ヶ寺だ。ところが今日は久しぶりに1日で3ヶ寺を打った。

宇和島市内の駅前ホテルが朝食抜きだったので、6時半にはホテルを出て、途中のコンビニで調達したおにぎりを食べながら(行儀は悪いが)歩いた。最初に行ったのは41番龍光寺で、8時半に到着。長い石段の上に寺はあるが、朝早くなので、遍路は疎らだ。
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▶龍光寺から次の42番仏木寺までは3㎞未満だが、境内下の駐車場から入る遍路道を見過ごしてしまい、先ほど登った参道の石段下まで戻ってしまった。そこから車が通る道を行っても良かったが、時間に余裕があるので「四国の道」と標識のある迂回路を行くことにした。

▶しかし実際はかなりの回り道で、地元の人に聞きながら進んだが、最後は田んぼの畦(※ここは道ではありません)を行くしかなくなった。途中、小さなヘビを踏んづけそうになったりして、漸く仏木寺に着いたときは時間が倍ほどもかかってしまった。
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▶ここから本日最後の43番明石寺までは10㎞だが、途中に歯長峠という難所を抜けなければならない。峠の手前で休憩所があったので立ち寄ると、テントを張って誰かが寝ている。そばには古びた菅笠と金剛杖が立て掛けてある。軽く声をかけたものの返事はなく、極めて不気味だ。

▶だいたい午前11時頃にテントで寝ているというのは尋常ではない。しかし強引に声をかけてテントの中の人を起こすのも悪いし、テントを覗いて人が死んでいたりしたら、もっと悪い。それでも近くのベンチで一人昼食を取ったが、どうにも落ち着かないので直ぐに休憩所を後にした。

▶この休憩所から歯長峠の遍路道に入るが、難路であることは分かっているし、どうにも縁起が良くない予感がするので、峠越えをやめて県道のトンネルを通ることにする。その後の疲れ具合を考えると、この選択は正解だった。

明石寺の手前で宇和高校の野球部の練習するグラウンド横を歩いていると、先生の号令一下、選手全員が私に向かって挨拶してくれた。なんという躾だ。先ほどまで引きずっていた嫌な感じが一気に解消した。宇和高校野球部の皆さん、ありがとう。

▶その後、43番明石寺に到着。明日もまだ歩きの行程は残っているが、寺打ちは今回が最後だ。午後3時ちょうどに宿に入った。
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