▶普段はビール党を自認している私だが、この時期になるとなぜか日本酒が恋しくなる。やっぱり日本人だね。行きつけの居酒屋には焼酎をボトルキープしてあるが、最近は焼酎の前に熱燗１本を頼むことが多い。家で飲む場合は、ビール（ノンアルを含む）に始まって、ワインまたは日本酒で終わる。とまあ、要するにアルコールなら何でもござれという結論になるところが、酒呑みの酒呑みたるゆえんである。
▶ところで、今日は酒の話ではなくて、酒器の話。先日のこと、家で日本酒を飲みたいと思い、やおら戸棚から徳利を取り出して、酒を入れて電子レンジで温めて一人ちびちびと飲みだした。しばらく飲んでいると、珍しいことに使っている徳利と杯に目が行った。これは確か実家から持ってきたもので、味も素っ気もない代物だ。飲んでいる酒も大した酒ではないが、その酒をこの酒器で飲んでいると・・しかも一人で・・なんだか余計に侘しさが迫ってくるような気がしてくる。
▶酒は飲めるときに飲んでおくべし、というのは「近頃の」私の信条。だが、どんな飲み方でもかまわないかと言うと、必ずしもそうではないので、さっそく好みの酒器を買い求めることにした。と言っても、私は基本ヒマな人間なので、デパートに出かけていって買ってくるというイージーな買い方はしない。まず、世の中にどんな酒器が出回っているのか調べようと思い、ネットを覗いた。
▶ネット上には膨大な酒器が出回っているが、買うならアマゾンか楽天か。しかしこの買い方では更に味気がない。なにせ私は基本ヒマな人間なので、買う時の手間がかかってこそ楽しい時間が過ごせるというもの。それなら、ヤフーオークションかメルカリで掘り出しモノを探そうとアレやコレやとネットサーフィンしたが、結局メルカリで何点か良さそうなモノを見つけ出した。
▶私には昨年、ネット（個人のホームページ）で松本清張全集（古本）の購入にからんで振り込み詐欺に引っかかった苦い経験があるので、メルカリで個人が販売するものを購入するには実は抵抗があった。しかし、メルカリの場合、私がカードで支払った購入代金は直接販売者に支払われるのではなく、一旦メルカリの預かり勘定に留保される。その後私の手元に品物が届き、私から品物の評価とともにメルカリに受取通知を出すことで、初めてメルカリから販売者に留保された代金が支払われる仕組みなのだ。
▶販売者と購入者の全てのやりとりはメルカリのシステムを使って行われ、お互いの評価も、メルカリによって保存される仕組みで、匿名を使いながら安全に取引が行われるように組み上げられたシステムは、実によくできている。ということで、とにかく試しに一つ取引をしてみないことには実態の把握もできないと思い、おそるおそる購入したのが佐賀県嬉野の一位造のこの酒器。金額は昼飯代に毛が生えた程度だから、申し訳けないほどだ。
▶クレジット決済が終わるとすぐに匿名の販売者から連絡が届き、なんとその日のうちに発送の手続きまで進んだ。梱包・発送など面倒だと思うが、この人は実にマメな人だ。私からも購入の挨拶をメルカリのシステム上で行ったが、翌日に品物が届き、私からメルカリに受取結果を通知することで、販売者に支払いが行われ、取引は無事に完了。
▶購入した酒器は、写真で見たとおり、品質面では極めて満足のいくものであった。ところが、この酒器を手にして気がついたことがひとつある。それはサイズが私の想像していたものより僅かに大きかったことだ。もちろん寸法は知っていたが、これは感覚の問題なので、いたしかたない面もあり、私としては、文句のつける筋合いではない。ただ、この酒器で酒を飲むと、少し飲み過ぎるかもしれない。
▶さて、メルカリの仕組みに味をしめた私が次に購入したのは、伊万里焼の鶴首形の注ぎ口のついた青磁のような色合いの酒器で、実はこれが今回の本命の品物。この形の徳利は、燗瓶（かんびん）というらしいが、以前同じようなものを持っていたが残念ながら割ってしまい、その後似たようなモノを探していたが私の好みに合わないものばかりで、これまで購入にいたらなかった経緯がある。
▶この伊万里の燗瓶は、色合いといい、表面の質感といい、形といい、大きさといい、私が長らく探していたもののイメージに極めて近いもので、迷わず購入を決めた。匿名の販売者は、どうやら女性のようで、これを買ってから使わずに飾っておいたが、断捨離を兼ねて販売することにしたとのこと。価格は、おそらく彼女が購入した時の半分か三分の一程度と思われるが、極めてリーズナブル。
▶その燗瓶が本日午前に届いた。厳重な包装を解いて取り出して写真とったものが、コレ。いいでしょう。
実物を見て、思わずニンマリとする。早速、品物の評価と受取通知をメルカリに送った。戸棚の中に置き場所を確保しようと既存の徳利や杯を整理して、半分以上を断捨離することにした。おかげで戸棚もスッキリ。すると、ここで思いもかけない発見があった。なんと、戸棚から出てきた一つの杯が、この燗瓶とよく似合うのだ。色合いや風味が似ているので、並べると実にいい。マサカこんな杯が手元にあるとは思わなかったが・・・。
▶ということで、メルカリにはまってしまいそうだ。今日は、酒の話からメルカリの話になってしまった。それにしても、これから更に晩酌が楽しみだ。ワールドカップを観戦しながら、まずはビールで、ついで日本酒で決まり。
