マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

四国遍路日記(7ー3)

▶遍路をしていると、次の札所と宿の都合で1日の行程にある程度のバラツキが出ることがある。今日は、まさにそういう特別な1日となった。明後日の最終日は87番長尾寺、88番大窪寺と決めてあるので、今日と明日で84番屋島寺、85番八栗寺、86番志度寺を回るのだが、距離と宿の関係がどうしても調整できない。考えた挙げ句、今日は屋島近くに宿をとって、明日84番~86番を回ることにした。先週のことである。

▶結果的に今日は高松市内を11㎞程歩くだけの行程になったので半日の余裕時間ができることになる。さてどうするか。宿がたまたま琴電一宮駅近くなので、琴電を利用して金比羅参りをすることを考えついた。電車で往復すると1時間半、金比羅宮での滞在を最大3時間としても 午前中に往復できる。これなら午後から屋島に向かっても午後3時過ぎには宿に着けそうだ。ということで、琴平行きを決断し、8時22分の琴電琴平行き普通電車に乗車した。

▶実は金比羅詣では初めてではない。その昔岡山にいた時に家族で行ったような記憶があるが、明瞭な記憶としては残っておらず、いつか再訪してみたいと思っていた。昨年10月には僅か数㎞しか離れていない75番善通寺の宿坊に泊まったので、翌日立ち寄ろうと思ったが、時間的余裕が作れずに残念ながら行かずじまいとなっていた。それが今回ひょんなことから実現することになった訳だから、嬉しいことは嬉しい。

▶9時過ぎに琴平駅に降りると、人は少なかった。駅に荷物を預けて参道に向かう。参道の両脇には土産物店が立ち並ぶが、朝9時過ぎなので、半分程しか店は開いていなかった。人通りの少ない参道の階段を上って行くが、本宮までは785段の階段を上る必要がある。

f:id:Mitreya:20230309053423j:image
途中の参道脇にとって着けたような神社や銅像が沢山並んでいるが、何だか昔のテーマパークに入り込んだ感があって、ここを訪れた人々はきっとそれなりに楽しんだのだろうと思った次第。金比羅参りは当時の貴重な娯楽だったのだ。
f:id:Mitreya:20230309053944j:image

▶荷物を背負っていないので比較的快調に階段を上がって行き、10時前には標高251mの本宮に到着。

f:id:Mitreya:20230309052043j:image
f:id:Mitreya:20230309052622j:image
f:id:Mitreya:20230309054146j:image
境内は空いていて、境内の端に立つと眼下には琴平の市街地が広がり、その先には讃岐富士が聳えている。天気は快晴なのだが、景色が霞んで見えるのは春霞のせいなのか。

f:id:Mitreya:20230309052147j:image
思ったより容易に本宮まで上って来られたので、まだ時間はたっぷりある。そこでさらに奥社まで行ってみることを思いたった。

▶遍路で寺院を回ると奥社のある寺院に出くわすことがあるが、これまで奥社という所に行ったことは一度もない。何となく時間と体力の無駄づかいのような気がしていたのだが、せっかく時間を作って金比羅さんまで来たのだから、奥社に行かずに帰るのはもったいない気がする。奥社までは更に583段の階段を30分もかけて上らなければならないが、めったにないチャンスなので、思いきって行くことにした。

▶結果的には25分で奥社に到着。ここは本宮から更に高い421mの標高で眺めは抜群だ。f:id:Mitreya:20230309054503j:image
f:id:Mitreya:20230309054249j:image
大変なことは間違いないが、遍路転がしと言われる難所に比べれば、足下が整備されているだけ随分と楽な印象がある。特に懸念された下りが遍路道とはまったく違って安心して下りてくることができたのは幸いだった。山道と階段の違いである。

▶ところで、奥社に行く途中に白峯宮という神社があったのには驚いた。昨日のブログにも書いた通り、白峯宮というのは崇徳上皇の御霊を鎮める為の神社で、白峯寺天皇寺の他に金比羅宮にもあったとは意外や意外。遍路から戻ったら崇徳上皇の関連本でも読んでみようという気になった。

▶11時過ぎには琴電琴平駅まで戻ってくることができたから、通常2時間半~3時間はかかる行程を2時間で往復することができたことになる。これも遍路で鍛えたおかげか。妻が生きていたら自慢するのだが、今ではこうしてブログに書くのみである。もっともすれ違った10代の若者は、奥社に向かう階段を走って上っていたのだから、若いということは本当に・・・何ものにも代えがたい。

▶11時12分発の高松方面行きの電車に乗って12時前に一宮駅まで順調に戻ってきた。駅を降りて近くの讃岐うどん屋で昼食をとった。昼時のうどん屋は、車で近くのサラリーマンや地元の人がやってきて大にぎわいだった。周りの勢いに押されて思わずうどんの大を頼んでしまったが、讃岐の大は関東の特大に近い。食い過ぎを懸念したが、するりと胃袋に納まった。
f:id:Mitreya:20230309053109j:image

▶そこからあとは、ひたすら屋島の麓の旅館まで歩いて、午後3時過ぎに到着。今日は札所のある寺には行かなかったが、有意義な1日だった。