マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

令和5年のパリ一人旅(2)


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▶今日はルーブル美術館の話。日本にいる時から、今回はパリの美術館をじっくり見てやるぞと気合いを入れていました。パリでは美術館巡りに格好のパスが販売されていて、購入すると、ほとんどの美術館が見られ仕組みとなっている。それがパリミュージアムパスで、使える日数が2日・4日・6日と3種類あるが、私の場合6日間パスがピッタリ合う。

▶パスはシャルルドゴール空港の到着ロビーにある観光案内所で買えることを知っていたので、入国してから最初の仕事?としてパスを買うことにした。案内所の女性に6日間のミュージアムパスを買いたいと告げると、売るのはいいが、ルーブル美術館に行くなら予約を持っているか尋ねられた。以前はミュージアムパスを保有していれば予約の有無は関係なかったが、最近は扱いが変わったので、予約が必要になったとのこと。

▶ここで予約を取れるというので早速お願いすると、しばらくして残念ながら今週の予約枠は全て埋まっていると驚愕のお告げがあった。どうしても行くつもりなら、予約なしの一般入場券を当日並んで買う必要があるが、混んでいる場合は最悪入場できないことも覚悟して欲しいという。それでもパスを購入しますかと念押しされた。パスの値段は85ユーロ(=約13000円)である。

ルーブルでは使えないかも知れないパスを果たして購入する価値があるかどうか悩んだが、他の美術館では使えるので買うことを決断した。しかし、こんな予約が全て埋まっている状況で、当日ルーブル美術館に入館できるだろうかと不安が募ってくる。実は、昨日書いたように、この後にパリ市内行きの鉄道がストップしたことを知ることになるのだが、それはまた別の話。

▶昨日ようやくの思いでホテルに到着して安堵したのもつかの間、今度はルーブル美術館のことが心配で眠れなくなった。最悪の事態を考えて、とにかく明日朝一番にルーブル美術館に行ってみるしかないと思い定めた。

▶明けて5日は月曜日。ホテル近くのカフェで簡単に朝食をとってからルーブルを目指す。8時半に到着すると、ガラスのピラミッド前には既に50メートル程の行列ができている。整理員がいたので、ミュージアムパスを持っているが、予約がないのでこの列に並ぶ必要があるかと尋ねると、並べと言う。とにかく、覚悟を決めて並んだ。

▶列に並んでいると不思議に気分が落ち着いてきた。暇なので隣の大学生とおぼしき女性2人連れに声をかけて状況を聞く。オーストラリアから来た彼女達は、ミュージアムパスなど持っていないので、こうして並んでいるとのこと。パリも素敵だが、日本にも行きたいと嬉しいことを言ってくれる。そうこうしている内に開館時刻の9時となり入館が始まったが、列は全く動く気配がなく、気がつけば列の長さは200メートル位に伸びてしまっていた。

▶9時半頃に最前列の20人位がガラスのピラミッドの中に入って行ったが、その後は列は全く動かず、この調子では午前中に入れるかどうか心配となるも、今更どうしようもない。すると10時を過ぎて突然列が動き出した。10分後にとうとう私もピラミッドの中に入ったが、今度は地下一階の入場券売り場に並ぶ必要がある。

▶しかし、展示室に入るゲートの様子を見ていると、予約をチェックしているような様子もないので、思い切ってゲートに突進してミュージアムパスを提示すると、なんとあっさりと中に入れてくれた。予約はどこでチェックしているのか不審に思うも、入館してしまえば関係ない。ということで、無事にパスを使ってルーブル美術館に入ることに成功?しました。しかし、何となく昨日のロワシーバスの話に似ている。

▶それから午後3時過ぎまで、ランチもとらずに5時間近くルーブルを歩き回った。入ってすぐに長い階段を上っていくと、正面に見えてきたのは、サモトラケのニケと呼ばれる翼を持っているが頭部がかけてしまっている有名な像。ルーブルに来たことを実感した瞬間だった。その後は、回廊に沿って展示してある絵画を観賞するも、あまりにも数が多すぎて、目移りするとはこのことだ。

▶少し人だかりする場所に行くと、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵が3枚も並んで展示してある。「岩窟の聖母」、「ミラノの貴婦人の肖像」、「聖アンナと聖母子」だが、ダ・ヴィンチを何気なく3枚も並んで展示してあるところが、いかにもルーブルらしい。しかし、じっくりと表情を観察していると、いずれも実に奥行きが深いものです。


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▶そこから右側にある部屋には、お待ちかねのモナリザが、警備員付きで特別展示されている。先ほどの絵とは人だかりの大きさが段違い。前回は妻と並んでこの絵を見たが、今回は一人でじっくりと見た。この絵を見る為に、日本から双眼鏡を持参してきたのだが、残念ながらホテルに置き忘れた。まあ、パリの初日にこうしてモナリザに会えたのだから、文句は言えないか・・・。
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▶巨大な「ナポレオンの戴冠式」の絵画や、ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」の前では、小学生を引き連れた先生が、座り込んだ子供たちに盛んに説明をしていた。話をしようが写真を撮ろうが全く自由なところが日本の美術館とは大きく異なるところだ。
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ルーブルは、展示が3階にわたっているが、モナリザを始めとして有名な絵画は殆んどが2階に展示されているので、必然的に2階に最も多くの人が集まってくる。昼頃には混雑が激しくなり、モナリザの部屋は芋を洗うような状況となった。私は、早い時間に観賞できたからいいいようなものの、そうでない人は大変だ。一方、3階にあるフランスやオランダなどのヨーロッパ絵画には人は殆んどいない。

▶行ったり来たりしながら、最後はミロのヴィーナスに会いに行った。この像に会うのも久しぶりだが、ギリシャの彫刻は本当に美しい。しばらくたたずんでいたが、周囲にはヴィーナスと並んで写真を撮ろうとする女性が沢山いて雰囲気が壊れそうになる。この人たちの神経はどうなっているのだろうか。
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▶一通り見終わるとさすがに疲れが出てきたので、午後3時を回ったところでルーブルを出た。隣接する地下のショッピングセンターにあるフードコートで遅い昼食をとったが、野菜たっぷりのチキンプレートと冷えたビールが格別に旨かった。外に出ると太陽はまだ十分に高い所にあり、強烈な日差しが照りつける中、チュイルリー公園をコンコルド広場に向かって歩いた。真っ直ぐ前方にはなだらかな坂の上に凱旋門が見えて、左手にはエッフェル塔が聳えている。やっぱりここはパリなのだ。
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