マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

令和5年のパリ一人旅(4)


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▶昨日のリベンジを兼ねて、今日はベルサイユへ宮殿行きを決行。駅前のカフェでオムレツとサラダの朝食をとって駅に行くと、5分もしないうちに下りのベルサイユ行き列車が到着。昨日の騒ぎは一体何だったのか。パリ市内から近郊に向かう列車は、ものの15分も走ると森に囲まれた田園地帯に入る。朝の列車は比較的空いていた。窓外を走り去る緑が美しい。

▶35分で終点のベルサイユ・リヴ・ドロワ駅に到着。ダウンロードしたGoogleマップをオフラインで使いながらベルサイユ宮殿を目指した。この機能に早く気づけば良かったと思うが、仕方ない。歩くこと15分で宮殿が見えてきた。広場の入り口に聳えるルイ14世の騎馬像が私を迎えてくれる。
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▶時刻は9時前なので、観光バスの姿は見えない。広場から見る宮殿正面の姿は立派の一言に尽きるが、良く見ると両翼の建物は後世のもので、厳密には宮殿とは一体化していない。しかし、普通に眺めると全体が巨大な宮殿正面に見えるので、フランス政府も上手く設計していると感心することしきり。

▶ベルサイユ宮殿は外観を一部工事中であった。そういえばエッフェル塔の周辺や凱旋門も工事中だった。マドレーヌ寺院も周囲を工事中のフェンスで囲まれていた。コンコルド広場も工事中だ。しかし、ここに来てようやく気づくとは情けない。来年はパリオリンピックの年なのだった。それにしても、市中に全くと言っていい程オリンピックの宣伝がないのはどういう訳だろうか。美術館の入場方法(予約の有無)なども、ここにきてかなり厳格に変わったと感じたが、きっとそのせいかも知れない。

▶ベルサイユ宮殿では、パリ・ミュージアム・パスが使えるが、ここでも多少のトラブルがあるにはあった。それでも何とか無事に宮殿内に入る。中に入ると前に進めない程人がつかえている。オーディオガイドを耳にした人達が、宮殿内の部屋ごとに立ち止まるからだが、文句は言えない。部屋の印象は、きらびやかというより歴史の重みを感じさせる重厚なものだ。ルイ14世は、この宮殿で暮らしたが、この広さと大きさでは、実際の私生活はどうだったのだろうか。

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▶宮殿の見学の最後は、広大な庭園に面した長大な鏡の部屋で、ベルサイユ宮殿を象徴する部屋である。豪華絢爛とはこの部屋を表現するのに最もふさわしい言葉だろう。千利休のわび・さびとは対極の代物だ。昔ここにやって来た他国の王族や貴族は、その豪華さにさぞかし驚いたことだろう。まあそれも宮殿を作った目的の一つではあっただろうが。
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▶一通り内部の見学を終えてから、宮殿正面(入り口方面から見た裏側)に広がる大庭園に降りてゆく。この庭園は宮殿本体に劣らず素晴らしいもので、まさにフランスの威信をかけて造園されているといっても過言ではない。宮殿本体は高台に位置しているが、庭園はそこから北側に向かってなだらかに下りながら展開している。まるで直線1500ヤードの打ち下ろしのロングホールが展開するゴルフ場のようで、しかしもその先には広大な池(運河)が横たわっている。

▶時間はたっぷりあったので、ルイ14世が実際に推奨したとされるコースにしたがって大庭園を堪能させてもらった。たまたまこの日は庭園にクラシック音楽が流れる特別な日で、庭園にある噴水がその音楽に連動して踊るように吹き上げる様には、見とれるばかりであった。

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▶昼食を庭園内にあるカフェでとった後に、そこから1㎞程離れた所にある2箇所の別宮殿(グラン・トリアノン、プチ・トリアノン)に行く。マリー・アントワネットが特に愛したプチ・トリアノンは、フランスの田舎の風景を庭園の中に人工的に再現したもので、かつてNHKのBS番組でも紹介されたことがあり、私も見て知っていた。マリー・アントワネットもベルサイユ宮殿には住みたくなかったようだ。プチ・トリアノンは彼女の私生活の場でもあったのだ。
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▶プチ・トリアノンの庭園に展開するフランスの田舎の小道を1時間近く散策していたら、時刻は既に3時を回っている。太陽はまだほとんど真上にあったが、体力の限界が近づいたので帰路についた。帰りのコースは行きと全く同じで、ベルサイユの駅からホテルまで40分程だった。ホテルのベッドに横になると、何だかベルサイユ宮殿が夢に出て来るような気がした。