▶昨日は、晴れて良い天気だったので、近くのスーパーで花を買って桜木霊園へ妻の墓参に行ってきた。妻の体調変化が発覚したのが令和改元の直前だったので、あれからもう2年経ったことになる。早いものだ。去年までは闘病中の生々しい妻の記憶が、頭の片隅のどこかに常にこびりついていたものだが、それも次第に薄皮が剥けるように消えてゆき、近頃は敢えて意識しない限り、厳しかった思い出が突然蘇るようなことはなくなった。
▶今朝は早起きして、ラジオ体操をする。昨日は墓参のあとゴルフの練習場にでかけ、調子に乗って球を打ち過ぎたので、上半身が少し強張っていたが、体操をしたら少しよくなった。朝食を済ませてから、さてブログでも書こうかとパソコンを開いたところで家の電話が鳴った。最近は自分にかかってくる電話はスマホ宛ばかりで、家の電話はめったに鳴らない。何かの勧誘の電話かと思って出ると、電話の主は男性で、吉村(仮名)と名乗った。
▶用件を尋ねると、私の妻と妻の母の近況が聞きたいとのこと。どういう関係なのか改めて尋ねると、自分は昔、妻の家族と近所づきあいしていた者だと言う。吉村氏の父親と妻の父親が同じ会社に勤めていて、母親同士も仲が良くて、昔からの知り合いだという。そう言えば、吉村さんという名前には、微かに聞き覚えがあった。妻の母を施設に見舞いに行ったときなど、「昨日、吉村さんの奥さんから電話をもらった」というような話を彼女から聞かされていたことを思い出した。
▶その吉村さんの母親は健在で、久しぶりに話がしたくて妻の母に電話をかけると、その電話は既に使われていないことが判明し、それで確認のため、娘である私の妻のところに吉村さんの息子さんが代わりに電話をかけてきたということが分かった。そこで、私から妻も妻の母親も既に亡くなったことを伝えると、電話口の吉村氏は大変驚き、そして残念がった。
▶吉村氏は私や妻と同年の独身で、現在は都内で98歳の母親と伴侶を亡くされたお姉さまと三人で暮らしているという。当時埼玉の狭山市にあった妻の家とは、家族ぐるみのつきあいだったので、中学時代の妻のこともよく覚えておられた。「お母様と同じくきれいな方で、その後は東京で活躍されて、あなたと結婚されたと聞いていたので、今でもお元気にされているものと思っておりましたが、そうですか、お二人とも亡くなられたのですか・・」と言っていた。
▶突然の電話で、10分ほどの会話だったが、忘れかけていた昔の記憶がまた鮮やかによみがえった。妻の実家では、義父と義母と妻が既に亡くなり、私の家では、父と母と妹が亡くなって久しくなった。人は、誰かの心に思い出が残る限り生き続けるとものだと聞いたことがあるが、人を悼むということはそういう意味があるのだということを、このブログを書きながら、改めて思っている・・・。