マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

送り盆の日に思うこと・・・


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▶気がつけば8月も半分終わり、今日は送り盆の日だ。母がまだ元気だった頃は、家族そろって前橋の実家でお盆を過ごし、16日の夕方近く、田んぼの畔道で焚いた線香の煙にのせて、ご先祖様の霊を旅立たせたものだった。お盆には亡くなった先祖の魂が戻ってくると信じられていたから、13日の迎え盆の日はどこかウキウキした気分で、再び彼岸の世界へ魂を送り返すという16日は、寂しい感じがしたものだった。母にしてみれば、送り盆が終われば子供や孫達も帰ってしまうので、二重に寂しい気持ちがしたのだろう。今になって母の気持ちがよく分かるようになった。

▶今年は、12日に前橋まで日帰りで墓参をした。1日早く父母と妹の魂を連れて来たことになるが、これは生きている私の都合でそうしたのであって、果たしてこれで魂が本当に来てくれたのかどうかは分からない。我が家の場合、墓が二つあって、一つは前橋の菩提寺にある墓で、ここには父母と妹が入っている。もう一つは千葉市の桜木霊園内に2年前に求めたもので、こちらには妻が入っているが、お盆迎えの墓参りを13日に同時に行うというのはなかなか大変で、必然的に時期をずらすことを余儀なくされたというわけだ。

▶墓を二つ持つことについては、妻の墓を作るときに菩提寺の住職に相談した。難色を示されるのではないかと心配していたところ、意外にもスンナリと了承してもらったので助かった。葬儀の時にお布施の額を弾んだのが効いたのかも知れない、などと言うと仏罰があたるが・・・。ただ、墓が二つあるというのは何かと不便なのはその通りで、いずれは前橋の墓を終わりにして千葉の墓に移そうと考えている。既に、千葉の墓の墓誌には、妻の戒名に並べて父母と妹の戒名も刻んであるから、これを見た住職にしてみれば、この人はナント手回しがいいことと思ったに違いない。

▶墓じまいに関しては驚くべき経験をしたことがある。当時私の妻の実家は小田原にあり、先祖の墓は出身地の岐阜の中津川にあった。30年くらい前に妻の祖母が亡くなって暫くたったとき、義父が一念発起して中津川にある墓を終わりにして、小田原に新しく墓を作ることを決断した。私と妻も手伝いに駆り出され、9月末の当日は休暇をとって私が車を運転し、妻と両親一家を乗せて中津川に向かった。

▶途中、名古屋に寄って写真を撮ったり岐阜の犬山城を見学したりの観光気分で、その晩は中津川の温泉宿に一泊したのだが、妻の弟と子供も交えて久しぶりの賑やかな一夜となった。翌日は菩提寺への挨拶と墓じまいの儀式を済ませ、せっかく中津川まで来たのだからという義父の意向で、つきあいのある親戚の家をくまなく回って挨拶を済ませた。全てを無事に済ませることができた義父は満足げで、帰りの車の中でもホッとした顔をしていた。

▶それから何日か経った10月の初め、突然我が家の電話が鳴った。義父が亡くなったという義母からの電話だった。73歳だった。10月にも関わらず暑い日で、実家の前の海岸で散歩を楽しんだ義父は、家に戻って昼寝をしているうちに心筋梗塞で亡くなったのだ。自分で墓の改葬をしてから僅か10日余りで、その新しい墓に入ることになってしまったのだから、運命の皮肉というのはこういうことかも知れない。だからと言う訳ではないが、あまり墓じまいを急ぐのもどうかと最近思うようになった。

▶と言うのも、妻が亡くなってもうすぐ3年になるが、最初の半年が過ぎたくらいから精神的にも立ち直ってきて、その頃から新型コロナが流行し始めたものの、めげずにあれやこれやと一人暮らしのプランを実践し始めた。一周忌に間に合わせるように妻の墓を作ったり、前橋の実家のリフォームと賃貸、北軽井沢の使わなくなった別荘の解体、居間のリフォーム、冷蔵庫の買い替え、四国遍路の開始等々・・・これまで随分と色々なことをやってきた。そして先日は風呂場のリフォームも完成したが、よくよく思えば、やはり急ぎ過ぎている感じは否めない。

▶これで墓じまいも終わってヤレヤレと言いながらポックリ逝ってしまうようなことになったら、それはそれで仕方のないことだし、そういう死に方も悪くはないだろうが、残された子供達は悲しむだろう。お父さんも、もう少しユックリ行けばよかったのにねってね。

▶そうならないように、身体を鍛えるつもりで来週から四国遍路を再開する予定であるが、その前に今晩は神宮外苑のビアガーデンで友人達との会食があり、金曜日は御殿場の富士平原でゴルフの予定があったりと、言ってることとやってることが違うではないかと妻から叱られそうだ。しかし、持って生まれた性格というのは、この歳まで生きてくると簡単には変えられない。なんだかんだと言いながら、退屈せずにこうして日常生活を過ごせているのだから、それはそれでいいではないかと思ったりもする。

▶お盆の最終日に、涼しい居間で昔のことを思い出しながら少し感傷的になっていたが、早くブログを書き終えて、これからゴルフバッグを宅急便で送りだしたり、庭先で線香でも焚いて先祖の霊を送ったり(同じ送り出しでもだいぶ異なるが・・)、その前に昼飯の支度をしたり、4時過ぎには神宮外苑まで出かけていかなければならないと気がついて、感傷的気分は吹っ飛んだ。そうだ、四国遍路の10日間の宿探しもしないといけないし、遍路に出かける前には、行きつけの居酒屋に顔を出さないといけない。こうしてはいられない・・・。