マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

四国遍路日記(1の4)


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▶四国歩き遍路の場合、最大の難所は12番札所の焼山寺と言われ、別名「遍路ころがし」の異名がある。標準的なコース時間は、8時間と言われているが、何しろアップダウンが激しい。ここを通過するのに疲労困憊してその後の遍路を諦める人が、5~6割はいるというのが共通認識となっているくらいだ。
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▶今日私は宿を7時に出て、焼山寺に着いたのは午後2時だったから、30分ほどの昼食時間も入れて正味7時間かかった計算で、宿に着いたのは、午後3時半だったから、8時間半は歩いたことになる。

▶途中、ピークを二つ越え、大きく下って民家が立ち並ぶ軒先をかすめて遍路道は続き、谷川を渡ってから、最後の急登が1時間近く続いたあとたどり着いた先が、焼山寺だった。ここは、巡礼の道というような生易しいものではなく、全くの登山道と言った方がふさわしい。

▶朝7時に12番の藤井寺近くの宿を出た時は3人で、この内一人は、私よりやや若い遍路6度目のベテラン。最初は、私を含め残り2人に合わせてゆっくり上ってくれた。一つ目のピークを越えて下った所にある唯一の水場の柳水庵で別れたが(先に行ってもらった)、この人は焼山寺まで休憩無しで4時間半で行った記録があるということで、所詮一緒に歩ける訳がないのです。

▶残ったのが最初の宿から一緒になったおじさん(Yさん)で、この人はハアハア息をしながら私の後をついてくるので、何だか私がリーダーみたいになってしまった。私はYさんの様子を見ながら、「そろそろ休みましょうか」なんて言いながら登っていった。

▶二つ目のピークが浄蓮庵でここがコース中の最高地点。頂上に樹齢1000年は越える幹周りが8メートル近くある杉の巨木が立っていて、その根元に大きな弘法大師の像が佇立していて、これを見たときは思わず「おおっ..」と声が出てしまった。時刻は11時半なので持参のおにぎりをここで食べる。そのうち、また一人の遍路がここに登ってきたが、その人も「おおっ」と大きな声を上げたので、思わず笑ってしまった。その人は、恥ずかしそうにしながら、我々を追い越していった。

▶そこから今度は足場の悪い坂を300メートル下ると民家が立ち並ぶ小さな集落がある。下りは膝にくるので、この段階でかなりバテる。気を入れ直して再び300メートルを登り返すと尾根に出て、そこから1㎞ほど歩いて焼山寺の山門に着いたというのは、最初に書いた通り。

▶この日は焼山寺から1時間ほど下った鍋岩地区の遍路宿に泊まった。ここは、何軒かあった遍路宿がほとんど閉じてしまった後の唯一といってもいい残った宿だが、ここも風前の灯火といってもいい危機的状態の宿だった。これについては、別に書きたい。