マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

四国遍路日記(2の7)

▶今日は14日。日曜日だが、相変わらず曜日の感覚がない。室戸岬を高知方面に回った直後にある岬を行者岬と云うが、この山の頂上にあるのが26番札所の金剛頂寺。昨晩は、ここの宿坊に泊まったと書いたが、夕食の時に、住職の奥様が出ていらして、しきりに寺の宣伝をアピールしていた。

金剛頂寺第67世住職の坂井智宏師は、真言宗豊山派宗務総長を勤めた重鎮ですが、現在85才で病気がちなため、ご内侍が代わってお客様を接待する役目となっている。この寺は空海が初代住職となっており、また、坂井氏によれば、空海が室戸で修行をして覚りを得たのは、一般に言われる御蔵洞ではなくて、金剛頂寺の飛び地でもある行者岬の不動岩にある洞窟とのこと。

▶坂井氏はこのことを調べて本を書かれているが、奥様が住職の意を汲んで、我々のような遍路達に、不動岩と、その場所に坂井氏が独力で建立した「空海・遍路文化会館」を是非見学して欲しいと力説される。亭主の好きな赤烏帽子という訳ではないが、奥様の気持ちは十分伝わった。

▶前置きが長くなったが、朝一番でその文化会館に立ち寄ったが、ご夫婦で力説されるだけあって、誠に立派な施設であった。更に空海の修行地も室戸岬ではなくここではないかと思わせるほどに学術文献も調べておられる。この地域は、1000年間に約7mも隆起しており、そうだとすると、御蔵洞は当時は海面スレスレだったとも考えられ、空海が籠った洞窟ではないというのも説得力がある。写真は、「空海・遍路文化会館」と不動岩の洞窟。
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▶夕方、次の札所のある神峯寺の麓の民宿にたどり着いた。この地域に唯一残っている民宿で、必然的に知った顔の遍路が集まった。この民宿は素泊まりだが、皆さんコンビニ弁当を食べながら、空海談義と遍路談義に話の花がさいた。