マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

誰も見ていなかったホールインワン!!


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平家物語には、白河法皇が語った「賀茂川の水、すごろくの賽、山法師。これぞわが心にかなわぬもの」という逸話が載っている。これを「天下三不如意」と言うのだそうだが、かつて私の上司だった人は、自らを白河法皇になぞらえて、「俺の場合、ゴルフボールの行方と部下の心は意のままにならない」と嘆いた。言われた部下もたまらないが、少なくともゴルフボールの行方が意のままにならないというのは、言い得て妙である。

▶最近は年齢とともに一段と意のままにならなくなっていたゴルフボールが、一昨日、とうとう私の言うことを聞いてくれて、打ったボールは真っすぐにピンに向かっていった。人生で初めてホールインワンを達成した瞬間だった。場所は、ホームコースである真名カントリークラブ・ゲイリープレーヤーコースのアウト3番128ヤードの打ち下ろしである。

▶12月10日の土曜日。この日はクラブのインナー・サークルのメンバーだけの忘年ゴルフコンペ開催の日だった。私の組は、予定していた男性が急遽欠席となり、私は同伴したベテラン女性2人と3人で回った。インスタートだったが、午前中は相変わらず出入りの激しいゴルフとなる。午後のアウトの出だしも、いきなりトリプルを叩いてしまい、この先どうなることかと落ち込む気分を奮い立たせながら向かったのが3番のショート。同伴の女性たちは、前方のレディースティに向かう。ここは打ち下ろしのPar3で、レギュラーティからピンまでは128ヤード。

▶さて何番で打つかと考える。私の場合128ヤードは通常9番の距離だが、かなりの打ち下ろしホールなので、一瞬PWもありかと思ったが、この日は9番が当たっていたので、思いなおして9番を構える。天気が良いので頭上の太陽がまぶしい。女性たちがレディースティに着いたのを見計らって、クラブを振り下ろす。打った瞬間にナイスショットした感触が伝わる。高い放物線を描いてボールはまっすぐピンに向かっていった。そしてボールを見失った。

▶同伴の女性たちからは何の反応もない。次いで彼女たちがショットを放つ。私はカートを運転して彼女たちをピックアップしてグリーン脇まで降りていった。彼女たち:「〇〇さん(私のこと)、グリーンオンしました?」私:「いやおそらくオンしているハズですけど・・」と言いながらグリーンを見渡すが、ボールは一個も乗っていない。

▶一瞬、やはり9番では大きかったかと思い、AWとパターを手にしてグリーン奥のラフに向かう。しかし、どこを探してもラフにもボールはない。ボールは高い弾道でグリーンに落ちたと思っているので、OBには絶対になるはずがない。そこでもう一度ピンを見ると、なにやらピン脇10㎝くらいのところに小さな窪みがある。ボールマークだ! まさかと、背筋が寒くなる瞬間。

▶ピンに近づき、ボールマークを確認し、ホールを覗き込むと、私のボールがあった。 人生で初めてのホールインワンを確認した瞬間だった。驚く私と、同伴者たち。最初に彼女たちが発したのは、「〇〇さん保険、入ってます?」「いや解約したばかりです」と私。その後は、なにかスゴイと褒められたような気もするが、よく覚えていない。とにかく大騒ぎにならないように、コンペ終了までは他の組の人たちには黙っていて欲しいと頼む。そして、スコアカードに1と書き込んだ。

ホールインワンというのは、一体どのくらいの確率で出るものなのだろうか。米国のゴルフレジスターが公表している数字があるが、初心者を含む全てのゴルファーの平均確率は1/33000だそうだ。1ラウンドすると、4回ショートホールがあるのでラウンドあたりの発生確率は約8000ラウンドに一度。ただし中級者以上に限定すると3000ラウンドに1回程度の確率に縮まるようだが、それでも年間50ラウンドしても60年かかる計算だ。祝いたくなる気分も分からんでもない。

▶さて私は、ホールアウト後は、一人ゆっくりと風呂に入った。湯舟につかりながらホールインワンの気分を満喫した。その後はクラブを出てホテルに一度チェックインした後、クラブが手配したバスで忘年会会場に向かうのだが、その途中で我慢しきれなくなった同伴者の女性の一人が、皆さんにホールインワンが出たと発表。周囲からどよめく声が上がる。私としては、誇らしくもあり、なんだか怖気ずくような気分もありで、不思議な気分だった。

▶それもあったかどうか、忘年会は大盛り上がりで、ホテルに戻ってからは、私の部屋に10数人が集まって二次会開催。誰かがコンビニで沢山アルコールを調達したので、ふたたび盛り上がったという次第。この会では比較的新参者だった私も、年甲斐もなく、人気者になりました。

▶翌日の日曜は、かなりのメンバーが残ってラウンドを再開したようだが、もともと帰る予定だった私は、ゆっくり起きて、昨日の出来事をかみしめながら、家まで戻ったのでした。20年以上前に真名カントリーのメンバーになってから、初めて感じる嬉しさでした。家に戻って、妻の遺影に報告し、夕方はまたいつもの居酒屋に出かけて行って報告。こちらも盛り上がりました。

▶ゴルフボールも人生も、なかなか思うようにはなりませんが、まじめにコツコツやっていれば、たまにはこのような椿事に遭遇することもあることを実感した週末でした。