マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

スラムダンクとタイタニック


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▶2月に入ってから映画づいている。都内に住む息子から是非スラムダンクを観ろと勧められたことがきっかけである。スラムダンクは1990年代の前半にコミック誌に連載が始まった鬼才・井上雄彦のバスケットボール漫画で、舞台となっているのは湘南にある「湘北高校」バスケ部だ。雑誌の連載から少し遅れてテレビアニメの放送も始まった。それから30年を経て、今回「THE FIRST SLAM DUNK」としてアニメ映画化された訳だが、日本国内はもとより、お隣の韓国でも記録的なヒットとなっているというから、恐るべき日本アニメである。

▶映画版スラムダンクは、インターハイでの湘北高校絶対王者と言われている山王工業高校(※おそらく秋田の能代工業高校がモデル)との熾烈なゲームの進行に合わせて、登場人物の生い立ちが並行的に描かれる。雑誌やテレビアニメでは、桜木花道というバスケ素人ではあるが運動能力が抜群の破天荒なキャラクターを中心に展開されているのだが、映画ではバスケ部でポイントガードを務める宮城リョータが主人公として描かれている点が新機軸である。

▶映画の内容としては、見てのお楽しみということにしておくが、ストーリー展開やCGも駆使した映像のリアルさと美しさは、今や世界のアニメーションの頂点に立つとされる日本アニメの実力が如何なく発揮されていて見事である。手塚治虫から始まった戦後の日本アニメは、こうして子どもたちの娯楽から大人も含めた全世代が楽しめる文化に大きく変質した。

▶現在日本のアニメ産業を支えているのは、子どもではなく間違いなく大人達である。かく言う私の息子は、妻も子もある中年世代まっさかりの大人で、ビジネスの世界ではそれなりのポジションにいるハズだが、90年代にスラムダンクに魅了された彼は、既にこの映画を13回(私が知る限り)も見たと豪語している。その尋常ではない話を聞いたとき、親である私としては開いた口がふさがらないというより、彼の家庭や仕事に影響がでないかまじめに心配した。と言っても好きなものはどうにもならないが・・・。


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▶さてスラムダンクを鑑賞したあとしばらくして、今度はタイタニックリバイバル上映のニュースをスマホで見つけた。映画タイタニックについては今さら何の説明も必要はないが、今回の期間限定(2月23日まで)のリバイバル上映は、3D版にデジタルリマスターされたバージョンで、都内では2月10日に公開されてから予約があっという間に埋まってしまう人気とのこと。ニュースになるのもうなづける。

▶私はこの映画を既に何度となく見ており、家にはDVDも置いてある。しかしテレビ画面で見るタイタニックと映画館の大画面で見るタイタニックでは感動のレベルに天と地ほどの差があるのは当然で、何とかもう一度映画館で見たいものだと、かねがね思っていたのである。しかも今回は3D映像だというから、これはもう見るしかない。

▶ということで、スマホで千葉の映画館を検索していたら、T・ジョイ蘇我という近くのシネマコンプレックスを見つけたので、矢も楯もたまらず予約する。映画館に行ったのは17日の午前10時半。平日のこの時間にも関わらず既に中年のグループや若い人が大勢来ていた。おそらく仕事や学校があるはずだが、見に来る人の気持ちは私と同じハズだから、まあよく分かりますよね。

▶3D映像のタイタニックは、文句なしに良かった。立体映像の仕組みはよく分からないが、3D眼鏡をかけて見ると、本当に映像が飛び出すように立体的に見えるので、これはもう、その世界に飛び込んでしまったような感覚になる。技術が進歩するにつれて、虚構と現実が容易に交錯するとんでもない世界になったものであると、驚くやら感心することしきりだった。

▶ただ一つ困ったことがあったのは、途中でトイレに行きたくなったことである。タイタニックは全編通しで3時間15分もある大作だから、開演前にトイレに行くのはもちろんだが、どうやら朝食の時にお茶や牛乳を飲み過ぎたのがたたった。しかしこれはもう仕方のないことなので、周囲の人の迷惑もかえりみずトイレに立った。席に戻って皆さんはどうなのかと思っていたら、エンディングのセリーヌ・ディオンの歌が流れ始めたら、多くの人が脱兎のごとく立ち上がって出て行ったのを見ると、苦しんだのは私だけではなかったようだ。それにしても皆さんよく我慢しました。

▶さて、スラムダンクタイタニックも、90年代の家族皆が若かった時代に重なる出来事である。それは私にとってはかけがえのない懐かしい時代なのだ。私たち家族は、当時高校生を筆頭にした三人の子どもたちと、毎週テレビでスラムダンクを見ながら妻が作った餃子を食べた。それは家族団欒の原風景となって今に残る記憶に刻まれている。

▶97年のタイタニックは、茂原のシネマコンプレックスに妻と二人で見に行った。見終わって近くのファミレスで簡単な夕食をとったが、感動覚めやらず、どちらからともなくもう一度見に行こうと言い出して、数日を経てまた二人で見に行った。

▶映画の最後は、年老いたローズが眠りながら見る80年以上前のタイタニックの夢である。そこには主人公のジャックが当時のままの姿でローズを待っているのだが、このエンディングシーンは何度見ても飽きることがない。おそらく私自身の見果てぬ夢を、ローズの夢に重ね合わせて見ているからなのだろう・・・。