マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

帰国時のドタバタ騒ぎ(2)


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▶日曜日の正午過ぎにシャルル・ドゴール空港に到着したのはいいが、JL46便は19:00発と随分先だ。念のため該当のカンターに行くが、時間が早すぎて誰もいない。当然チェックインなどできない。仕方ないのでどこかで時間をつぶすことを考えるが、巨大なシャルル・ドゴール空港2Eターミナルを見回しても、チェックイン前に時間をつぶせるような店が見つからない。諦めて午後4時まで周辺のベンチに座って時間をつぶす覚悟を決めた。

▶荷物の中に、時間つぶしの為に文庫本2冊(ローマ人の物語16巻、17巻)があったのを思い出し、早速引っ張り出して読み始めた。読書というのは有難いもので、こんな時でも読み始めると面白い。途中、前を行き交う人々を眺めながら、とうとう1冊を読んでしまった。時刻はもうすぐ4時なので、チェックインが始まる時刻だ。丁度4時にカウンターが開いてチェックインが始まり、私はすぐにチェックインすることができた。

▶出国審査やセキュリティーチェックもそれほど混んでいなかったので、スムーズに終了して、ラウンジに入る。日本航空シャルル・ドゴール空港には専用ラウンジはなくて、エアーフランスのラウンジを使わせてもらう。このラウンジはさすがエアフラ思わせる立派なもので、席に着くと盛装したスタッフがシャンパンのサービスを行ってくれる。ノドも乾いていたし、ここまでくればもう安心との思いから、有難くシャンパンをいただいた。同時にサービスされる食事のレベルも高い。やはりパリは違うね、とこれまでの交通事情に起因する不快な気分も和らいでくる。

▶ボーディング時刻は18時30分なので、少し前にラウンジを出てゲートに向かう。ところが、ゲートに着くもいっこうにボーディングが始まる気配がない。すると隣にいた日本人のオバサンが、雷雨で少し出発が遅れるらしいわよと言う。改めて外の景色を確認すると、ここ一週間晴天続きだったパリの空がにわかに曇っている。しかし、飛行機が発着できないほどの雲にも見えない。ただ、これによって搭乗時刻は1時間遅れることが確定。まあいいかと、思って待っていると、19時45分に搭乗開始とのアナウンスがある。離陸は8時半頃になりそうだ。

▶とにかく、搭乗してしまえばこちらのもの。8時前には搭乗が終了し、ドアが閉まった。さあ動き出すかと思いきや、突然篠突くような雨が降り出した。メインエンジンがかかっていない静かな機内に機体を叩く雨の音が響いている。するとアナウンスが始まった。「雷雨が激しくなったので、一時的に空港が閉鎖となりました。地上作業も含めて全ての作業はしばらくストップすることになりましたので、当機も離陸できません。そのまま座席でお待ちください・・・。」

▶今日は本当についていない。最後の最後になって再びトラブルに見舞われるとはと、つくづく身の不運をなげいたが、まあ無理に出発して命の危険にさらされるよりはマシかと思い、諦めた。そこで今度は、ローマ人の物語17巻を取り出して読む。この間、出発予定時刻のアナウンスが何回かあったが、ことごとく撤回されて、結局10時45分になってようやく出発の許可が下りることが確定した。文庫本の残り10ページで機体が動き出したが、こうなったら離陸前に是非とも読み終えたい。午後10時56分、無事に読了。そしてJL46便が離陸したのは10時59分だった。

▶結局空港では文庫本を2冊読んだ。こんなことは経験がない。本当に長い待ち時間だった。以前、サンディエゴから日本に戻る飛行機がサンフランシスコ沖合で引き返すという出来事があり、その後再出発が翌日に延期されたことがあったが、私にとってはその時以来のトラブルだった。

▶6月11日午後11時。私は、次第に高度を上げていく機内の窓から、既に雷雲が去ってしまった眼下に、見事なパリの夜景が広がっていくのを見ていた。それは目を見張る光景の連続だった。今回の旅では、昼が長いパリで夜景を見る機会は全くといっていいほど無かったが、最後の最後で、美しく広がるパリの夜景を堪能した。「翼よあれがパリの灯だ」とリンドバークならずとも言い出したくなる。その灯の中に、まごうことなきエッフェル塔が美しく聳えているのを見つけた。なんだかとても得をした気分になった。