マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

21番八溝山日輪寺へ行く

▶10月中にバイクで2回目の坂東三十三観音巡りでもしようかと思っていたが、中旬に思いもかけずにコロナ感染してしまい、10日間は外出を控えて家で自粛せざるを得なくなった。その後も軽い咳が続いたので、なかなかバイクで外出する気になれない。バイクではなくクルマで出かける方が楽なのは分かっているが、観音札所巡りはバイクで行くと決めているので、そうもいかない。このあたりが良くも悪くも融通の利かないところだ。

▶11月に入ると暖かい日が続き、3日からの連休は関東地方でも夏日となることが予想され、バイクツーリングには絶好の機会が到来した。そこで早速どこに行くか検討したが、前回は6ヶ所ある茨城県の札所のうち4ヶ所(23番~26番)を巡っているので、今回は残りの2ヶ所の21番日輪寺と22番佐竹寺を巡って、とりあえず茨城県の札所は打ち止めにすることを考えた。ただ、21番日輪寺は、茨城と福島の県境にある八溝山にあって、我が家からは片道230㎞もあり、バイクで日帰りするにはかなり難易度が高い。

▶一旦は宿泊することも考えたが、祝日の宿の手配も面倒なので、結局は朝早く出発して日帰りで決行することに。準備を整えて11月4日午前7時過ぎに家を出る。当日は天気もよく絶好のツーリング日和となった。国道51号線を使って大洗まで2時間半の行程を一気に走り、水戸の手前で6号線に入って北上。途中マクドナルドで小休止したが、ここまではいたって順調。

▶地図を確認すると、22番佐竹寺が常陸太田市にあるので、こちらを先に参拝することにする。バイクはナビがないので、時々バイクを停めてスマホでグーグルマップを見ながら佐竹寺に向かったが、なんだかんだで到着したのは11時40分だった。佐竹寺は寛和元年(985年)開山の古刹で、平安時代末期にこの地方を支配した佐竹氏の隆盛によって寺運が上がり、当時はかなりの大寺だったようだ。本堂は、茅葺屋根の寄棟づくりの立派なもので、重要文化財に指定されているとのことだが、残念ながらメンテナンスが悪い。写真撮影を禁止しているのも、そのあたりに理由がありそうだ。とりあえず山門の写真だけは撮った。
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▶茅葺屋根の本堂と言えば、能登半島輪島の阿岸本誓寺を思い出す。こちらは五木寛之の「百寺巡礼(北陸編)」の第一番に紹介されている浄土真宗の寺で、かつて私は妻と一緒に訪れたことがあるが、茅葺屋根の本堂は信徒によってよく維持されていた記憶がある。佐竹寺の本堂は、阿岸本誓寺の本堂に勝るとも劣らない堂宇であるが、財政難で現在のような姿になっているのは、なんとも勿体ない。ただ、この寺でいただいた御朱印は立派なものだった。

▶時刻は丁度正午だったが、次の日輪寺まではかなり時間がかかりそうなので、そのまま急ぐことにする。国道293号線から118号線に入って更に北上し、1時間走ると袋田の滝の入り口が見えてきた。この滝には何度かバイクで来ており、ここまで来るとさすがにはるばると来たものだとの感慨があるが、日輪寺はそこから更に北上した八溝山の八合目近くにある。山深い曲がりくねった道を延々と走って上り詰めたところに日輪寺の入り口が見えてきた。

▶21番札所日輪寺は、7世紀後半に開創されたと伝わる古刹で、茨城県の最高峰の八溝山に位置することから、かつては修験者や行者が集う霊場であった。昔は現在のような林道が整備されていなかったので、この寺は坂東三十三観音巡りの最大の難所であったようだ。とにかく他の寺から離れているし、八溝山に登るのも大変で、巡礼者の中には諦めて麓から八溝山を拝んで日輪寺参拝に代えたという伝えも残っている。
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▶バイクで到着すると、意外にも駐車場に何台かクルマが止まっていた。境内に登ると正面に本堂があり、本堂の右手には石造りの十一面観音が立っている。靴を脱いで本堂に上がると、正面の本尊は秘仏のためか開帳されていなかった。参拝したあと、堂内にある納経所で御朱印をもらった。住職がどちらから来ましたかと聞くので、千葉市からバイクで来ましたと答えると、よくこんな遠くまで来てくれましたと驚かれた。まったくその通りである。

御朱印をもらえばあとは帰るだけだが、時刻は既に午後2時である。とにかく来た道を戻って袋田の滝近くの道の駅で遅い昼食をとった。その後は、国道118号線を延々と走り、4時過ぎに常磐自動車の那珂ICで高速に乗った。水戸を過ぎるまでは快調に飛ばしたが、岩間からは連休の渋滞につかまり、つくば近くまで来たときには暗くなってきた。そこから圏央道に入ると周囲は真っ暗で、道路照明のない対面交通の圏央道をバイクで走るのはかなり緊張する。

▶ようやく大栄ジャンクションから東関東自動車道に入った時は、さすがにホッとした。あとは、穴川ICまで安全運転をこころがけて走り、家に着いたのは午後6時半を少し回っていた。約12時間に及ぶバイク・ツーリングはさすがに大変だったが、最難関の日輪寺を無事に打ち終えることができたので、満足感は高い。すぐに風呂に湯を入れて入り、前日に作っておいたおでんの鍋をつつきながら、一人ビールを飲んだのでした。

▶3月に四国遍路が終わったあと、さて次は何をしようかと思っていたが、こうして新たにやることが出来たのはありがたい。