マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

奥多摩ツーリングとバッテリーの話

▶今から11年前、56歳の誕生日を迎えた1月に、初めて自動二輪(中型)の免許を手にした。前々年に、仕事も勤務先も大きく変わったので、第二の人生を始めるにあたって何か挑戦しようかと考えた末、思い切ってバイクに乗ることに決めたのだ。直接のきっかけとなったのは、タレントの清水国明国井律子の「気ままに寄り道バイク旅」をNHKBSで見たからだ。当時、妻もこの番組を見ていて、意外にも私の決断に反対はしなかったので、お互いの気が変わらないうちに早速教習所に申し込んだ。

▶年齢が行ってのバイクの教習は予想に違わず大変で、妻には内緒にしていたが、3ヶ月近い教習期間中に二度ほど転倒し、人知れず痛い目にもあったので、最終試験に合格した時は、本当に嬉しかった。免許を手にして最初に購入したのは、当時人気の高かったビッグ・スクーターのホンダのフォルツァ。これは、走りながらオーディオを聴くことができるのが自慢で、新しい職場の若い人達を誘って、房総半島を走った。

▶しばらくすると、マニュアル車にも乗りたくなったので、今度はホンダの名車と謂われるCB400を購入。フォルツァもそのまま持ち続けたので、バイクは2台に増えたのだが、この時も妻は文句は言わなかったのだから、本当に優しい妻だった。

▶その妻を、一度だけ館山までバイクの後ろに乗せて走ったことがある。この時はフォルツァだったが、帰りの館山自動車道のトンネルを出たところで、妻が愛用のサングラスを飛ばしてしまい、それ以来彼女は私のバイクに乗ることはなかった。たった一度だけだったが、忘れ得ぬ思い出で、それだけで二輪免許を取った価値は十分あると、私は今でも思っている。その後、幾星霜が過ぎて妻がいなくなり、私のバイクは更に変わって、今はスズキのバーグマン200となった。このバイクには4年近く乗っているが、フォルツァより少し小振りのオートマチック・スクーターなので、この年齢になっても乗りこなすことができ、大変重宝している。
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▶バイクに乗り始めてから、関東地方を中心にあちこち回ったが、毎年春になると決まって行くのが、奥多摩である。ここにはツーリングのメッカと言われる奥多摩周遊道路があり、バイカーの聖地の一つとなっている。その更に山奥の、山梨県に入ったところに「小菅の湯」という村営の温泉施設があり、ここの温泉がなかなかいいのです。
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▶さて、コロナ下ではあるが、数日前から天気予報をチェックし、今年も、昨日とうとう奥多摩ツーリングを決行した。準備を整え、午前6時半過ぎに家を出て、京葉穴川から都内に向かった。平日なので、錦糸町を過ぎると渋滞に捕まったが、そこはそれバイクの利点をフル活用して箱崎を過ぎると、都心の街並みが見えてくる。呉服橋を過ぎると、昔勤めていた会社のビルが見えてくるのがなんとも懐かしい。平日だから、皆さん仕事に励んでいるのかと思ったが、今はリモートワークが主体なので、都心のオフィスは意外と空いているのかも知れない。

霞が関トンネルの中で右に折れて新宿方面に向かい、そのまま4号線を走って永福で降りて甲州街道に入った。この道は何度も走っているので、比較的慣れている。甲州街道は片側2車線だが、道幅が狭いので左側車線を走ると時折駐車している車があったりするので、とても走りずらい。従って私はいつも右側車線を走る。調布の味の素スタジアムを過ぎたのはちょうど9時だったので、まずまず順調だ。そのまま甲州街道を走って、気が付くと立川まで来ていた。奥多摩に行く場合、日野バイパスから国道16号線に入って、その後に五日市方面に左折するのだが、昨日はショートカット狙いで日野バイパスを使わず直進したので、立川まで来て道が分からなくなってしまった。

▶仕方ないので、道端に停車してスマホで位置確認をし、少し休憩をして再出発をしようとエンジンをかけると、バッテリーが弱くなっているのに気が付いた。エンジンはかかったのだが、次にエンジンを切って再始動する際に、果たしてエンジンがかかるのか急に不安になる。冬の間はエンジンのかかりが悪かったが、暖かくなってきて今朝はスムーズに始動したので、安心していたが、やはりバッテリー交換をしておくべきだったと反省する。しかし、あとの祭りだ。
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▶その後、バイクは順調に秋川渓谷沿いの道に入っていったのだが、いかんせんバイクを停車するのが怖い。それでも、途中の景色の良い休憩所でバイクを停止させ、エンジンをかけたまま写真を撮った。檜原村の郵便局を過ぎて右に入り、しばらく走ると奥多摩周遊道路に入った。道は空いていて、ワインディング・ロードを気持ちよく走るのだが、バッテリーのことが頭から離れない。結局、エンジンを切ることなく、そのまま目的地の「小菅の湯」に到着した。朝から5時間近く走ったので、意を決してエンジンを停止した。
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▶久しぶりの小菅の湯は、とても空いていた。直径が2メートル近い露天の木桶風呂に一人で浸かって空を眺めると、青空が澄んで気持ちよく広がっている。周りの雑木も芽吹いたばかりで、萌黄色の若葉がなんともきれいだ。風呂から出て、食堂でかけそばを食べてから施設を出たのが午後1時40分。バイクにもどって、さあエンジンをかけようと祈るような気持ちでキーを回すと、エンジンがかかった。「助かった!」というのがその時の正直な気持ちで、そうでなければ、ロードサービスのお世話になるところだった。

▶その後は、小菅村から上野原まで、猿が出没するような山の中のくねくね道を走り、やっと甲州街道までもどってきたが、燃料計を見ると残り少なくなってきているので、新宿に戻るまでにはどこかで給油をする必要があると判断し、そのまま甲州街道を走れるだけ走って新宿に向かった。高井戸の手前のガソリンスタンドで給油をしたが、この時は、もしエンジンが始動しなければスタンドの人に応援を頼むつもりだった。

▶給油後はそのまま都内に入り、靖国通りから14号線に入って、篠崎で京葉道路に乗り、あとは一目散で穴川まで戻った。家に戻ったのは午後6時近かった。往復300㎞を越えるツーリングで、なんだかんだで10時間はバイクに乗っていたので、疲れることは疲れたが、帰宅後に近くのスーパーに夕食の買い出しに出かけることができたので、意外にも体のバッテリーは残っていることを実感した。風呂を沸かして、本日2度目の風呂に入り、ビールを飲んで、早めにベッドに入って妻の写真を見ると、笑っていた。

▶翌日、アマゾンで台湾ユアサのバッテリーを注文した。週末には届くので、届いたら早速バッテリー交換をしよう・・・。