マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

日曜午前の成田山散歩

▶日曜の朝、5時前に目が覚めたのでラジオをつけるとNHK「ラジオ深夜便」が終了するところだった。深夜便の終了間際には、いつも「今日の花」が紹介される。10月2日の花は金木犀で、花言葉は謙虚・陶酔・気高い。「そうか、もう金木犀が咲く時期になったのか」とベッドの中で独りごちる。この時期、隣家の庭にある金木犀から甘い香りが漂ってくるのだが、新聞を取りに玄関に出ても、いつもの香りの気配がない。今年の金木犀はまだ先のようだ。

▶日曜日の午前中は、NHKの将棋番組を見て過ごすのが日課だが、天気が良いので、久し振りにバイクでどこかに出かける気になった。ここのところバイクに乗る機会が少ないのでバッテリー上がりが心配だったが、大丈夫そうである。さて、どこに行こうかと思ったが、最初から遠くに出かけるつもりはないので、考えたあげく、成田山に行くことにした。迷ったときは、成田山

▶千葉から1時間近く51号線を走って、10時前に成田山に到着。門前にある駐車場にバイクを預けて山門をくぐると、いつものように参道右側には数軒の屋台が店を出している。縁日という訳ではないが、成田山には門前にいつもこうして屋台が出ている。階段近くには、お決まりの七味唐辛し売りが店を開いているが、見ていても全く売れる気配はない。この人たちはこれで一体メシが食えているのだろうかと、いらぬ心配をするが、これは余計なお世話。


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▶境内に上がると、正面には大本堂、右側には三重塔が聳えている。少し早めの七五三なのか、盛装した子連れの家族がチラホラ見える。遍路で四国の寺を廻るのとは異なり、こちらには朝の散歩のつもりで来ているので、本堂の中をチラと覗いただけで、左隣にある釈迦堂を見に行く。この堂宇は、安政5年(1858年)に建立された前本堂で、昭和39年に現在の本堂が建立されたのを機に、今の場所に移された。


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▶釈迦堂は、瓦棒銅板葺きの入母屋造り屋根を乗せた間口5間の堂々たる堂宇で、周囲の板壁には、8面の五百羅漢の浮彫が施されている。羅漢の顔つきは、生き生きとして全て異なっており、じっくり見ると、自分の先祖にソックリの羅漢を発見できるそうだ。それにしても、現在の本堂は鉄筋コンクリート造りの味気ない建物で、成田山の堂宇を見るならこの釈迦堂が一番である。

▶釈迦堂を見たあと、後ろの休憩所で早くも休憩。ここには成田山ゆかりの代々の市川團十郎の来歴パネルが飾られていた。現在の市川團十郎は十三代目だが、私は代々の團十郎が全て血筋がつながっていると勝手に思っていたが、そうではないことが分かった。例えば、十代目團十郎明治15年日本橋の商家に生まれたが、いわゆる歌舞伎の家系ではない。縁あって九代目團十郎の養子になったが、生前に團十郎を名乗った訳ではなく、昭和31年の本人の告別式の当日に、十代目團十郎を追贈されている。また、十一代目も養子である。ちなみにそれ以降は十三代目の現在まで血筋がつながっている。

▶休憩所を出て釈迦堂の奥に歩いていくと、光明堂がある。こちらは、釈迦堂の前の前々本堂で、昭和39年に釈迦堂と一緒に現在の場所に移築された。江戸時代中期の建造物だが、釈迦堂と比べると見劣りがする。しかし、成田山が面白いのは、こうして本堂を建て替える際に、以前の本堂を残していることだ。こうしたことも、市川團十郎の人気と共に参詣者が増加し、それにつれて寺院財政も豊かになっていったことの一つの証だろう。


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▶光明堂から更に奥へ行くと、もうそこは成田山公園の中で、右側に平和の大塔が聳え、手前には2017年に落慶したばかりの医王院がある。平和の大塔を廻ってから緑の公園の中の道を下っていく。公園の中には、奥まったところに滝が配置されていて、そこから流れ出す小川が公園中央の大池に流れ込んでいる。それほど広大な公園ということではないが、日曜の朝に散歩するには最適だ。庭園内には人影がチラホラといった感じ。


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▶そして、成田高校が下に見える成田山公園の高台を通って本堂に戻る途中、突然その香りが漂ってきた。今年最初の金木犀の香りだった。謙虚という花言葉のとおり、その姿は見えなかったが、確かに金木犀の香りだった。香りは不思議に昔のことを思い出させる・・・。私は、1年振りにかいだその香りに後ろ髪を引かれつつ、再び本堂前の境内の広場に戻っていった。

▶時刻は正午を少し回ったところで、いい具合にお腹もすいてきたので、山門前のホテルのレストランに入ってウナギ定食を注文。成田山に来たらウナギを食べるというのが定番になっているのか、私の周りの人達も皆ウナギを食べていたが、円安でもそこそこの値段でウナギが食べられるのはありがたい。

▶午後2時には、自宅まで戻った。朝の散歩感覚で成田山に出かけるのもなかなかいいものだ。ありがたいことに、金木犀の香りにも出会えた。帰宅後は、午前中に録画しておいたNHKの将棋番組を見てから昼寝。夕食の支度をするのが面倒なので、夜は近くの居酒屋に出かけた。