マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

四国遍路日記(4ー3)

▶昨年10月に徳島市内から四国遍路を始めて、前後のアクセスの日程を除けば実質23日目に、とうとう四国の左下の足摺岬まで到達した。これまで4度四国を訪れ、既に歩いた距離は約530㎞に及ぶが、それでもまだ全体の半分には届いていない(約47%)ということが、四国遍路の奥深さを示してしていると言えようか。

▶今朝5時前に目を覚ますと、民宿前の国道を走るクルマの路面の水を切り裂く音が聞こえない。よもやと思いカーテンを開けると、雨が上がって水平線の一部が赤らんでいる。久しぶりに見る日の出の風景だ。
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予報によれば、今日も変わらず雨のようだが、何とか足摺岬までは降らないで欲しいと祈るような気持ちで、6時40分に土佐清水市久百々の宿を出た。足摺岬まではおおよそ20㎞の行程だ。

▶だが、歩き出してものの10分も経たない内に雨が振りだしたのだから、今回は全く天気に見離されている。1時間弱歩くと大岐海岸という所にさしかかった。昨日と同じようにここも海浜公園となっていて、海岸にも関わらず鬱蒼と緑が繁る中をトレッキング・ロードが整備されている。雨がそぼふる中、ここを一人歩いたが、鳥の鳴く声と波の音が、木々の合間から重なって聞こえてくる。何とも言えない満ち足りた時間だった。
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▶そこから3㎞ほど歩いて以布利漁港に着く。漁港に併設された休憩所でひと休み。そこから県道に出るまでの遍路道が凄まじく荒れていた。
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どこが道なのか分からないような状態で、雨が小降りでなければ引き返すところだった。幸い県道に上がるまでの距離が短かったのでそのまま進んだが、昔の人は海際のこんな道を歩いていたんですね。

▶県道27号線に出て午前10時頃に窪津というところで休んでいると、30歳くらいの外国青年が追いついてきた。彼は昨日も見かけたが、私が挨拶すると人懐こそうな顔で話しかけてくる。外国人と話すのは2回目だ。島根県に住んでいるアメリカ人の英語教師で、奥さんは日本人。私と同じように区切り打ちの遍路をしている。雨が降る中、一つ屋根の下の遍路休憩所で、ひとしきり話がはずんだ。(一応、英語で話しましたけど、彼は日本語も少し理解する・・遍路も国際化している。)

▶さて、待望の足摺岬はあと1時間の距離となった。疲れはもちろんあるが、残り2㎞の標識を見つけた時は、さすがに心が踊った。午後1時にとうとう足摺岬に到着。すぐに天狗の鼻という見晴らし台に向かうと、なぜか雨も小降りになってきた。太平洋の荒波を背景に、断崖の上に足摺岬灯台を見た時は、思わず心の中で快哉を叫んだ。この気持ちは実際に苦労して歩いてみないと、多分わからないでしょうね・・・・

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▶38番札所の金剛福寺は、足摺岬展望台の駐車場からすぐ近くにあった。37番岩本寺から80㎞も離れているので、ここまでたどり着くまでに2泊を必要とした。実際来て見ると良い寺である。折から雨脚が強まったので、灯明を供え線香を上げるのが大変だった。久しぶりの般若心経を唱え、納経所で御朱印をいただいたことで、疲れが消えていった。


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