マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

再び東京医科歯科大学に行く


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▶先週の一泊ゴルフから戻った後、食事中に現在治療中でセメントを仮詰めした左上奥歯が痛みだした。この歯は、歯根が炎症を起こしているので、東京医科歯科大学で本格的に治療を開始する予定となっているいわくつきの歯である。3月1日に医科歯科大学で初診を受けた際、専門的治療の開始は場合によっては6ヶ月先くらいになるかも知れないと脅されていたのだが、4月11日の予約が取れたとの連絡をもらった。3月中旬のことである。

▶喜んでいたところ、日程をチェックすると11日は房総カントリーでの一泊ゴルフと予定が重なっている。こちらはキャンセルするのは忍びない(※というか、要するにゴルフに行きたい)ので、医科歯科大に電話を入れて、当日は都合が悪いので別の日にして欲しいと頼み込んだ。担当のN医師から改めて指定された予約日が、4月18日である。そして、その18日を前にして歯が痛みだした。当初の予定通り11日に治療を始めていれば良かったものをと若干後悔したが、あとの祭りとはこのことだ。とにかく18日までは何とか我慢しようと、その週末はおかゆを食べてしのいだ。

▶4月18日午後2時半、お茶の水東京医科歯科大学に行く。1階の総合受付で再診の手続きを済ませてから5階にある「むし歯科」へ。午後3時の診療予約だったが担当のN医師の手が空いたためか2時40分に呼び出しがかかった。早く来て良かった。診療開始にあたり30代と思しきN医師からまことに丁寧な治療方針の説明があり、さらには「根管治療についての同意書」にサインを求められる。

▶私の病名は慢性根尖性歯周炎という。インフォームド・コンセント用の説明資料をもらったが、何らかの要因で歯の根付近に細菌が繁殖し、根の先端に炎症が起こって歯肉の腫れや痛みを生じたものとのこと。そもそも、歯の中の細菌は滅菌や消毒をすることが非常に難しいのだが、大学では手術用の顕微鏡(5~20倍)と歯髄が通る管(根管)を削る器具(Ni-Tiファイル)を使って、根管を覗きながら精密な診断と処置を行うのだという。

▶Ni-Tiファイルは柔軟性が高く、通常の器具では削ることが難しい曲がった根管でも効果的に切削することができる。私の場合、3本ある根管のうち1本が曲がっているため、かかりつけのR先生から医科歯科大に行くことを勧められたのだが、ここにきてR先生から自分のところでは治療が難しいと言われた意味が初めて分かった気がした。担当のN医師からは、最終的に治療がうまくいかない場合は抜歯もあり得ますと言われたが、こちらはマナ板の上のコイ状態なので、おまかせしますとしか言いようがない。

▶20分くらい事前の説明を聞いてからようやく治療が始まった。診療室内には10台くらい診療用の椅子が並んでいて、それぞれの患者が担当の医師の治療を受けている。街場の歯科医院と異なるのは、診療用の椅子に大きな顕微鏡がセットされていることと、補助する看護師がいないことである。担当のN医師は、あらかじめ手元に必要な治具や薬品をそろえていて、実際に治療が開始されると流れるような手際で処置を進めていかれる。

▶麻酔が効いているので痛みはないが、長時間口を開いているのも疲れる。根管の切削(要するに煙突掃除のようなものか)が終わると、根管内に歯科用のアンチホルミン(殺菌力の強い洗浄液)を注入する。この時だと思うが、麻酔が効いているにもかかわらず歯茎の奥に痛みが走り、思わず声を出すと、N医師が「ごめんなさい」と謝ってくれた。何で痛みが走ったのか理由は分からなかったが、洗浄液をやや深く入れ過ぎたのではないかと勝手に想像した。

▶最後に、異なる種類のセメントを使って患部を二重に仮詰めして治療を終了した。腕時計を見ると午後4時近かった。N医師が治療の具合を説明してくれたが、3本の根管の中は全てキレイになって、消毒も全て済んだとのことだった。これ以上は、隣で治療をしている先生(実は、N医師の担当教授とのこと)でも同じだと思いますよとにこやかに言われる。なかなかの自信家だが、患者にとっては悪い気はしない。

▶この後は、連休明けまで様子を見て、その時点で再発していなければ、根管と先端の治療部分の空隙に特殊な薬剤を充填して、最終的に歯を被せるのだという。本日1回の治療で、ここまで一気に進められたのは有難い。ここを紹介してくれた日本橋のR先生からは、何度も治療に通う必要があるかも知れないと言われていたが、さすがは世界一流の医療技術の提供を誇る東京医科歯科大学と言うべきか。

▶2330円也の治療費(保険は有難い)を払って夕方家に戻ったが、治療部分が痛むこともなく、慢性的な歯茎の痛みも治まってきた。薬はなにも処方されなかったので、おっかなびっくり夕食をとりながら、ノンアルコールビールを飲んだが、何となく一山越えた感じがした。翌日は、いつものメンバーと昼から千葉市民ゴルフに出かけてハーフを回り、反省会と称していつもの居酒屋で乾杯をした。この間、歯の痛みが続いたので食事がまともに楽しめなかったが、その晩は久しぶりに酒も肴もうまかった。