マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

戦争と地震と航空機事故で明けた令和6年


f:id:Mitreya:20240104140233j:image
▶令和6年の年明けから、大規模な地震災害と航空機事故が相次いでいる。日本に一体何が起こっているのか。

▶長かったコロナ禍も昨年中にはようやく終息し、今年は久しぶりに明るい年明けとなるはずだった。我が家では大晦日に長女一
家がやって来てそのまま越年し、元日の午後には長男一家も加わり更に賑やかとなった。少し残念だったのは、次女の家の孫娘が直前にインフルエンザに罹患したことで、その為次女一家は今回は加わらなかったが、我が家の元日の夜は、久し振りに大勢がテレビを囲んで新年を祝う手筈が整った。

▶すると午後4時過ぎに突然携帯の緊急地震速報が鳴動し始めた。居間で遊んでいた孫たちもテーブルの下に隠れるなど大騒ぎとなる。石川県の能登半島で最大震度7地震が発生したのだ。千葉の揺れは大したことはなかったが、すぐにテレビ画面が切り替わって日本海側に広範囲に津波警報と注意報が発令されたことを知る。しかも能登地方では一時大津波警報が発令された。この警報は2011年の東日本大震災以来のことである。

地震の大きさはマグニチュード7.6で、これは阪神大震災マグニチュード7.3を上回る規模である。能登半島沖の逆断層が東西長さ130㎞に亘って滑り、しかも震源が海底近くだったので津波が発生した。輪島港では直後に1.2mの津波に襲われたが、津波の被害がそれほどには広がらなかったことは不幸中の幸いである。しかし、その後輪島市内では火災が発生し、観光名所の朝市では200棟が焼けるなど壊滅的被害が広がった。人的被害(死者数)は現在分かっている範囲では64人であるが、余震は続いており、更に多数の行方不明者がいる模様。まったくもって正月早々からゆゆしき事態だ。

▶楽しいはずの正月が、全国的に一瞬で暗転した。元日の夜は、正月特番のTV番組が目白押しのはずだったが、民放も含め軒並み災害報道に切り替わった。さすがにこれだけ多数の死者や行方不明者がいる中で、お笑い番組やバラエティーを放送することはできなかった事情はよく分かるが、元日のテレビがこれほど面白くなかったのは、昭和64年正月の昭和天皇の危篤以来のことである。

▶明けて2日も朝から地震被害の続報が相次ぐ。楽しみにしていた箱根駅伝は何とか放送されたので一先ず安堵の吐息をついたものの、それでも石川県を中心に自衛隊や消防隊が出動して懸命な救助作業が続いている状況は変わらず、午後になってからは更に詳細な被害の状況が明らかとなってきた。改めて分かったことは、地震は時と場所を選ばずにやってくるということだ。対策をし過ぎるということはない。

▶2日の夕方5時過ぎ、東京に戻るという長男と長女一家の帰り支度をしている最中に、今度は羽田空港のC滑走路で火災が発生とのニュースが入ってきた。滑走路で火災とは何ぞやと思いながらも、もしや航空機事故なのではないかとの思いが走る。そして6時半頃のNHKのニュース番組で、滑走路に着陸した日航機が爆発・炎上しながら走る姿が映し出された。これは信じがたい大事故だと直感する。
f:id:Mitreya:20240104142548j:image

▶新千歳発羽田行きのJAL516便が、羽田に着陸直後に、C滑走路内に居た海上保安庁の小型機と衝突したのだ。そして1時間後にはJAL516便は完全に燃え尽きたが、奇跡的にも乗員乗客379人は全員脱出に成功した。午後7時のニュースに登場したANAの元機長は、JAL便の全員が無事に脱出できたことは奇跡的だと繰り返した。しかしその後に分かったことだが、衝突した海上保安庁の小型機乗員のうち5名の死亡が確認された。この小型機の任務は、能登半島地震対応のための必要物資の搬送だった。地震が起きなければ、この事故はなかったことになる。

▶滑走路上で飛行機同士が衝突するというのは異常な事態である。当たり前のことだが、滑走路への進入は空港管制官によって極めて厳密にコントロールされている。従い2機の飛行機が同時に1つの滑走路に入ることはないはずだが、今回の事故状況を見る限り、何らかの要因が働いて、海保機がJAL516便が着陸するC滑走路に進入してしまったようだ。

▶今後は海保機と管制官の間にどのようなやりとりが交わされたのかが焦点となるものの、3日の正午現在その詳細は明らかにされていない。しかし何らかの錯誤かヒューマンエラーがあったのは間違いなさそうだ。国土交通省事故調査委員会や警視庁が早速動き出したが、航空管制は全て録音されているので、表面上の原因究明はそれほど困難ではないように思える。しかし事故原因の本質は、ヒューマンエラーを引き起こした人間の深層心理にある。

▶現代の最先端のハイテクを駆使した航空機も、実は肝腎な部分を人間のアナログ判断に頼っていることが多い。鉄道では運転士が赤信号を無視して進入しても自動列車停止装置が働く仕組みがあるが、飛行機の場合、機長が管制官の停止命令を誤解した場合に滑走路に誤って進入する機体を止める術がない。一方、管制官自身も言い間違えのリスクは常に存在する。

▶信じがたいことだが、かつて管制官がB機というつもりで誤ってA機に降下のコールサインを発令したため、あわやA機とB機が激突寸前という重大ニアミス事件が発生したことがある。またある時は、パイロット側が自分宛のコールと間違えてあわや大事故につながりそうなこともあった。この時はANA18便とANA181便が同時に存在していたにも関わらず、パイロット側はその事実を知らず、また管制官もそれをパイロットに伝えていなかった。交信も日本語ではなく英語で行われているという問題もある。

▶2005年には、千歳発のJAL便が羽田の閉鎖中の34L滑走路に着陸する事件が発生した。この時は、閉鎖を知っていたパイロットが不審に思い「Run Way 34L?」と聞き直したものの、管制官は疑問文とは思わず着陸を許可している。現代のハイテクも人間の判断ミスや錯誤の力には負けるのだ。

▶日本では年明け早々から不穏な動きが続く。一方世界に目を向ければ、今日この時も、悲惨な戦争が続いているという現状があるが、哀しいかな、こちらは全く人間自身のなせる業である。正月早々考える程憂鬱になるが、今自分にできることは、祈ることと、こうして記録することしかできないのがもどかしい。