マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

パンテオンから真実の口へ


f:id:Mitreya:20240308152413j:image
▶ローマに来る前におおよその観光プランは立てては来ているものの、現地の事情でその通りに進まないことは多い。最大の要因は人気が集中するコロッセオフォロ・ロマーノバチカン美術館などの入場に予約が必須だということで、予約がない一見の観光客にとっては列に並ぶしか方法はないが、2〜3時間待ちが常態で、しかも当日の混雑状況によっては入場の保証がないからだ。

▶これはパリのルーブル美術館なども同じだったが、私の場合、今回は予約は取らなかった。一つには大筋の日程を決めるのに直前まで時間がかかったことが大きいのだが、その理由は天気予報である。春先のローマは天候が不順で、雨も多い。今回のローマ行は歩くことが基本と考えていたので、天気の良さそうな時にアッピア街道などメインの所を歩きたかったからで、先に予約を入れてしまっては融通が効かない。

▶ローマに着いた日曜の午後に、パンテオンバチカン広場に下見に行った際、長大な入場待ちの行列を目撃したので、ここに行くなら朝早く行くしかないと考えて、翌日からのプランを練った。そして月曜はバチカンを主体としたコースから始めることにしようと決めた。

▶月曜の朝はそれなりに早く起きたのだが、何やかんやで出発が手間取ったため、時計を見ると午前8時近くになっている。これからバチカンに行ってもタイミング的に遅いので、それなら急遽コースを変えて最初に最も近くにあるパンテオンに行くことに決定した。先程言ったように、このあたりの融通が効かせられるのが個人旅行のありがたいところだ。

パンテオンは現在ほぼ完全な形で残っている古代ローマ時代唯一の建造物で、原型は紀元前25年にアウグストゥスの側近のアグリッパによって神殿として建てられたが、火事で焼失した。その後2世紀初めにハドリアヌス帝によって現在に残るパンテオンに再建されたが、アグリッパに敬意を表して、神殿前面のファサードにはアグリッパの名前がラテン語で刻まれている。私も実際にそれを確認した上で内部に入った。
f:id:Mitreya:20240308152515j:image

パンテオン内部は直径43mの巨大な球体がすっぽり入るように設計された建物で、天井には丸い大きな穴が空いていて、そこから光が差し込む設計になっている。雨が降ったら内部が水浸しにならないか気になるが、よほどの大雨でもない限り心配はないようだ。ちなみに前夜もかなり雨が降ったような気がするが、ロープで囲まれた中央部を見たら僅かに濡れている程度であった。
f:id:Mitreya:20240308153026j:image

▶しかし驚くのは全く支えのない直径43mの円形空間を造った古代ローマ人の建築技術の高さで、壁の厚みは最大で6mに及ぶ(しかも上に行く程薄くなっている)と云うから、その凄さはやはり現物を見ないと実感できないだろう。また、この技術を支えたものにローマン・コンクリートの存在があるが、これについては別に触れたい。

パンテオンを出てから次々と名所を巡った。備忘録のつもりで名前だけ以下に挙げておくが、サンタマリア・ソプラ・ミネルヴァ教会、アグリッパ浴場跡、ティベリーナ島、オクタビア回廊、マルケス劇場(写真)等々。途中のカンポディ・フィオーリ広場のカフェでピザとビールで昼食を取った。
f:id:Mitreya:20240308153144j:image

▶本日最後の見せ場は、サンタマリア・イン・コスメディアン教会。名前を言っても分からないが、「真実の口」がある所といえば分かる。映画「ローマの休日」でヘプバーンとグレゴリーペックが訪れたので一躍有名になったが、46年前に私も妻とここに来て写真を撮った。時は流れたが、当時と変わらず「真実の口」はそこに置かれていて、相変わらず観光客で賑わっていた。ちなみにこれは、ローマ時代の下水道の蓋だったとか。
f:id:Mitreya:20240308152736j:image
f:id:Mitreya:20240308152804j:image

▶ここまで歩くとさすがに疲れた。最後は真実の口から登ったところのアヴェンティーノの丘で、ここから下を見るとチルコ・マッシモの広大なスペースが見える。かつては競技場があった跡地だが、その向こうにはパラティーノの丘がみえて、天気が良ければ夕日がキレイだそうだが、あいにく当日は少し時間が早かったためか期待した夕日は見えなかった。
f:id:Mitreya:20240308152849j:image