マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

男おひとりさまの読書


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▶私のようなリタイアした一人暮らしの者にとっては、一人でいる時間をどのように過ごすのかというのは、大きな課題である。私の場合、たまたまリタイア生活と妻が亡くなったことによる突然の一人暮らしがほぼ同時期に始まったので、最初の頃はこの問題に悩まされるということは殆どなかった。当時は一人でいる時間の過ごし方を心配するような精神的余裕は皆無で、悲嘆にくれながら毎日の生活を綱渡りしているという状況であったからだ。

▶幸いなことに1年も経過すると心身が立ち直ってきたので、本格的に生活を立て直していくことを考え始める。まず最初は、目に見える生活環境を改善してしていくことから始めることにした。思い切って妻の遺品を整理し、リタイア後の一人暮らしに不必要と思われる品々は断捨離した。その上で、居間と食堂と書斎を一体化するような形で居間全体をリフォームする。一日の中でもっとも長く過ごすことになるだろう居間の居心地の改善は、私にとっては死活的に重要であるからだ。不思議なことにこの作業を行っていくにつれて、私は一人暮らしの良さを前向きに捉え始めた。要するに何でも自分一人で決められるということは、実は心地良いのである。

▶居間の隅には新たに書架を一つ購入して設置し、その前に読書用の安楽椅子と小さなテーブルとスタンドライトを置いて、いつでも本を読める体制を整えた。朝食の片付けや洗濯を済ませた午前中に読書を始めると眠くなるのが常だが、その場合は壁際の3人掛けのソファーで毛布をかぶって遠慮なく昼寝する。テレビを見ながら早めの夕食を切上げると、今度は安楽椅子に座ってウィスキーをなめながら読みかけの本の続きを読む。こういった形で読書していくと、当然本の数が増えてきて、買った書架はすぐに一杯になってしまった。

▶一人暮らしを始めたころはシルクロードや仏教関連、中国関連の本を読むことが多かったが、ある時松本清張の本が読みたくなったので、個別に単行本を探すのも面倒なので中古の全集を買うことにした。一昨年の秋、ネットで見つけた松本清張の全集を注文したら、なんとこれがネット詐欺。この経緯については、すでにこのブログにも書いているが、自分の浅はかさを再認識。しかし、松本清張の全集については、諦めることなく結局昨年ヤフオクで購入したが、全部で48冊もあるので、今度は再び書架が足りなくなった。

▶そこで、台所と居間の境にあるカウンターの下のスペースが空いていたので、ここに横置きの薄型の書架を入れることにする。昨年末に書架が入ったので早速松本清張の全集を並べると、まだかなり余裕がある。書架に余裕があると何か本を買って埋めたくなる欲求を押さえきれず、世界文学全集51冊、日本文学全集29冊を立て続けにメルカリで購入。別途、塩野七生ローマ人の物語」文庫本42冊も買って読み始めたから、薄型書架も既に満杯になってしまった。随分と沢山の本を買ってしまったが、中古本なので全部でもゴルフ2~3回分程度と趣味としては泣きたくなるくらい安価だ。

▶文学全集を買ったからと言って全て読むつもりは初めからなく、当然それ以外のノンフィクションや海外推理小説も読むのだが・・・それに最近ではアマゾン・プライムの映画とYou Tubeのゴルフと将棋番組にはまり、必然的にTVを見る時間が増えて相対的に読書の時間が減っているが・・・一人ですることもなく家に居る時に、さて本でも読むかと書架を眺めたときに読んでない本が沢山あるというのは、なんだか幸せな気分がするんですね。これも一人暮らしの贅沢というものか。

▶これまで、松本清張の初期の名作と言われる「点と線」「眼の壁」「時間の習俗」「ゼロの焦点」を堪能した。こちらはしかし全集でいうと僅か2冊分で、まだ47冊残っている。塩野七生ローマ人の物語」は、9冊目のユリウス・カエサル(※このあとクレオパトラの話も出てくる)を読んでいるが、まだ紀元前50年くらいの段階で、イエス・キリストも生まれていない。

ローマ帝国は395年にキリスト教を正式に国教とするが、そうすると今度はキリスト教のことが知りたくなって、それならまず聖書を買おうと思い立ち、新約聖書旧約聖書を買ってしまった。聖書は子どもの頃に日曜学校に通っていたこともあって、多少のなじみはあるが、福音書を読むのは初めてで、とりあえず「マタイによる福音書」を読み始めた。これとは別に、アメリカでベストセラーとなった「イエス・キリストは実在したのか(邦題)」を読んだが、こちらはユダヤ人の革命家ナザレのイエスの実像を描く試みで、それなりに説得力がある。

▶私の場合、興味があるとすぐに別の本に移るという悪いクセがあって、読みかけの本が増えてくる。先日はこれまた突然フランス語の入門書を買い込んでしまい、CDを聴きながら読み始めた。ということで、現在のところ世界文学全集と日本文学全集には全く手がついていないが、気が向いたらドストエフスキー谷崎潤一郎あたりから読み始めようと思っている。しかし、死ぬまでに全部読むことができるだろうか。