マイトレーヤの部屋から

徒然なるままに、気楽な「男おひとりさま」の日常を綴っています。

友人と箱根で美術館巡り


f:id:Mitreya:20230914190135j:image
▶名古屋に在住する幼なじみのT君とは、もともと前橋市内の家が近かったこともあって、中学校入学以来、お互いにファーストネームやあだ名で呼び合う気の置けない関係が半世紀を越えて続いている。かつて自動車会社に勤める彼が、仕事でデンマークに駐在していた際は、誘いを受けて妻と一緒にコペンハーゲンに行ったことがある。その時は、彼と奥様から城巡りやディナーなどで大変な歓待を受けた。奥様からお土産にいただいたロイヤル・コペンの小さな鳥の置物は、今でも大事にとってある。

▶その彼は東京にセカンドハウスを有しており、名古屋に住みながら毎月1週間は東京に滞在して趣味の文化的な生活を満喫する優雅な生活を送っている。彼に言わせると、名古屋は文化的に遅れており、あまり見るものがないのだとか。こどもの頃から推理小説クラシック音楽に興味を示すなど、当時から私などと比べてもかなり大人びていたが、仕事を辞めてからは彼の芸術趣味には更に磨きがかかった。現在定番となっているのが、美術館・博物館めぐりで、加えて文楽・能・歌舞伎・落語まで手を広げているようだ。趣味に生きる彼を見ていると、定年後の生き方の手本のようだ。

▶一ヶ月程前に、彼が千葉までやってきて、私の行きつけの居酒屋で酒を飲んだ。その時、私が車を乗り換えた話をしたところ、それならその車で一緒に箱根に行かないかと誘われた。箱根には彼がメンバーとなっている東急ハーベストの施設があり、そこに泊まって箱根の美術館をいくつか廻れれば面白いということになった。私はこれまで箱根で遊んでも美術館を巡る発想にはやや遠かったが、彼はこれまで何度も箱根の美術館を訪れている。ということで日程が整い、彼と箱根に行ってきた。

▶一昨日の午前8時、首都高を降りて地下鉄八丁堀の駅前のコンビニで彼をピックアップ。再び首都高に乗り、横羽線から横浜新道・新湘南バイパスを経て、134号線から西湘バイパスを走った。箱根に行くのにこのルートにしたのは、彼に湘南の海を見せたいと思ったからで、走りながら昔話に花が咲いた。10時半頃には小田原に着いたので、せっかくだからと小田原城を観光したが、陽射しがキツかったのですぐに車に戻り、箱根で食べるランチの相談をする。

▶食事にもこだわりのある(※決して安易に道路沿いのラーメン屋などにはいかない)彼の提案で、宮ノ下の老舗の富士屋ホテルに行くことに。私は富士屋ホテルは初めてだったので、彼の案内でホテルに入った。ホテルにはメインの食堂の他に今回利用した新設のサブ・レストランがあり、そこから見える庭の景色も素晴らしい。昼前だったので殆ど客はおらず、館内はいたって静か。彼はメニューからサーモンの前菜とニジマスのメインの二皿を注文。私はシーフード・カレーを注文したが、彼は私の選択を面白がり盛り上がった。カレーの値段はなんと4600円で、彼がオーダーした料理より高かったからだ。
f:id:Mitreya:20230914190155j:image

▶しかし、富士屋ホテルのカレーは価格に負けずに絶品で、中身のシーフードもアワビ・ホタテ・エビと豪華盛りだくさん。サフランで炊いたと思われる黄色のライスも素敵だった。4600円のカレーは人生で最初で最後と言いながら食べたが、機会があればもう一度食べたい一品である。話のタネに皆さんも一度ご試食あれ。ところで、食事中に15~16人の日本人と思しきの男女の団体が入ってきてテーブルに着いたが、男性と女性が二つのテーブルに分かれて着席したのを彼が目ざとく指摘。これが日本人の常識なのだとすれば、情けないねと・・。私も全く同感の思いであった。

▶富士屋で豪勢なランチを食べたあと、仙石原のポーラ美術館に行く。名前のとおりポーラ化粧品が運営する美術館で、私は名前だけ知っていた程度だから、彼の紹介がなければ死ぬまで訪れる機会はなかったかも知れない。しかし実際に行ってみて、私は自分の不明を恥じた。広大な敷地に建つ美術館の建物も素晴らしいが、収蔵されている印象派の西洋絵画や日本画の名品もなかなか立派なものだった。特に企画展で展示されていた現代日本画は、抽象画ではあるが、不思議と感興を覚えた。
f:id:Mitreya:20230914190209j:image

▶美術館に行く場合、自分のペースで鑑賞するというのが楽しむ秘訣である。ペースの合わない人と行くと不満が残る。これは相手が妻の場合でも同じで、今は私は一人になったからこの心配はないが、彼も奥様と一緒に行くことは稀であるようだ。ということで、我々はあらかじめ概ねの時間を決めてから、好きな絵を自分一人で好きなだけ鑑賞することにした。途中にコーヒーブレイクをとって、さらに鑑賞を継続。その後、美術館の建物を出てから広大な園内の散策路を巡ったが、こちらもよく整備されていて、ポーラ化粧品もよほど儲かっているのではないかと思わずにはいられない。

▶午後4時半に彼がメンバーの東急・仙石原の施設に入った。夕食はコース料理で、彼はあまり期待しないで欲しいと言うが、どうしてどうして、フレンチ風のイタリア料理で、味も量も十分だった。しかし食事をしながら彼が時々を首をひねっている。理由は終わってから分かった。彼は7000円のコースを注文したと思っていたのだが、実際は10000円のコースだったからだ。どうりで旨いハズだよなと笑いあった。終わってから、私の部屋で彼が持参したワインをあけて二次会。藤井聡汰と永瀬拓矢王座戦第二局をYou Tubeで鑑賞する。

▶翌朝の朝食はパスして午前9時過ぎにチェックアウト。二日目は、仙石原の色づき始めたススキ原を横目に強羅まで下って箱根美術館に行く。こちらは彼も私も初めてのところだ。美術家・篤志家の岡田茂吉が創立した美術館で、箱根で最も古い美術館であることを今回知った。収蔵品は陶磁器がメインであるが、ここでは陶磁器にも詳しい彼の説明を聞きながら鑑賞した。館内では、笠間の人間国宝の松井康成氏の「練り上げ」の手法をビデオで紹介していたので、これもじっくり見た。彼はこのビデオにいたく感激していた。

箱根美術館は、庭園の「神仙園」も素晴らしい。特によく手入れされた苔庭は必見で、京都の苔寺をもしのぐ規模の庭であった。箱根でこれほど素晴らしい庭園を見ることができるとは、ありがたいことである。
f:id:Mitreya:20230914202406j:image

▶美術館を出ると昼近かったので、ランチの相談をした。帰りの時間の都合で、小田原の中心部にある明治26年創業の老舗の「だるま料理店」で名物の天丼を食べることを私が提案。ここは平日でも行列ができる名店で、天丼が絶対のおすすめ。私は2200円の普通天丼を注文したが、彼は前日の私のカレーに対抗して、3600円の特上天重を注文。こちらの天丼も、昨日のカレーに負けずに美味でした。
f:id:Mitreya:20230914190229j:image

▶その後は、小田原・厚木道路から東名に入って都内まで直行した。千葉に戻ったのは午後4時過ぎと早かったが、なんとも濃密な幼なじみとの二日間でした。